■知の世界におけるホメオスタシス
稲田芳弘さんの『「ガン呪縛」を解く』という本を読みました。
革命的な医学理論であるが故に学会から抹殺されてきた千島学説がわかりやすく紹介されています。
千島学説については、以前からネットなどではサラッと読んでいたのですが、この本が面白かったという人がいたので、早速取り寄せて読んでみたのです。
いままで何となく抱いていた医学への疑問のいくつかが解消されました。
この4年間の体験のおかげで、その内容がとても納得できる気がしました。
千島学説は、たとえば「血は腸がつくる」とか「がんは血液の浄化機能を果たすために生まれる」などという考えです。
それは現在の医学の出発点にある常識への挑戦でもあります。
ですから医学学会からはほぼ無視されてきたと、著者の稲田さんは書いています。
たくさんの事例を引用していますので、とても説得力があります。
もう少し早く本書を信頼していたら、私たち夫婦のがんとの付き合いはかなり変わっていたでしょう。
もっともがんとの付き合いが浅い段階では、本書のメッセージをうまく受け止められたかどうか自信はありませんが。
いずれにしろ、医学界は千島学説に関してもっと真剣に取り組んでほしいと思います。
もし千島学説にたてば、がん治療のあり方は一変するはずです。
千島学説が正しいかどうかは私には判断できませんが、少なくとも新しい主張には正面から取り組むべきです。
学会の常識をひっくり返すような考えが生まれた場合、それが抹殺されるか無視されることは少なくないように思います。
その意味では、学問の世界は、まだ本当の「知の世界」にはなっていません。
その原因は、「知」の世界が市場化され、権力構造に組み込まれているからです。
たとえば、CWSコモンズで最近話題にした土壌菌の内水理論もその一つです。
発見者の内田護さんにお会いした時の彼の言葉はいまなお鮮明に覚えています。
彼の新発見をつぶそうとした動きがいろいろとあったようです。
その後、土壌菌は思わぬ形でブームになりましたが、しかし今なお正面から本格的に取り組まれているようには思えません。
こうしたことは技術の世界に限ったことではありません。
邪馬台国論争における古田武彦説はきちんとした反論がないと古田さんが言い続ける中で、いつの間にか忘れられたような形になってしまいました。
数十年たって、その考えが再評価されることもあるわけですが、なぜそうした新しい発見や発想は無視されがちなのでしょうか。
情報社会、知識社会と言われて久しいですが、どこかに問題があるように思います。
ちなみに、がん治療に関わっている方は、冒頭の稲田さんの本は読むに値すると思います。信ずるかどうかは別ですが。
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