■「白い恋人」事件と食育行政
また食品業界の表示不正事件です。
北海道の観光土産として有名なチョコレート菓子「白い恋人」が賞味期限改ざんを行っていたことが判明しました。
どうしてこうも繰り返し繰り返し食品企業の不祥事が起こるのでしょうか。
その基本に、食品業界と行政の癒着関係があるように思います。
先のミートホープ社事件では、そのことが明白に見えましたが、今回もおそらく一種の馴れ合いや依存関係があったように思います。
そうしたものがなければ、これほど繰り返し同じような事件が起きるはずはありません。
40~50年前に、「公害」が話題になり出した頃、「公害発生源」の企業を守り、被害を増大させたのはいうまでもなく行政です。
最近でこそ「予防原則」なる発想が市民権を得始めましたが、当時は公害防止よりも産業成長が行政の役割でした。薬害の時もそうでした。
その姿勢は今もって変わったわけではありません。
そうした事例は、このブログでも何回か書きました。
企業は「コンプライアンス」を口に出すようになりましたが、明らかな法の抵触さえなければ「不正」や「責任回避」は今もなおコストダウンのための手段ですし、それを支援するのが産業支援行政です。
言い過ぎに思えるかもしれませんが、繰り返される企業不祥事をみれば、それは否定できない事実でしょう。
もちろん個人が意識的に「不正」を行っているわけではなく、仕組みがそうなっているのです。
今回の石水社長も、気がついたら犯罪者になってしまっていたのです。
10年前であれば、おそらく隠し通せたでしょうし、行政も援護したでしょう。
しかし、昨今の情報環境はそうしたことを不可能にしてしまったのです。
行政の産業支援は決して悪いことではありません。
しかし問題は、産業に対する理解と支援の方向性です。
そこを一歩間違うとおかしなことになります。
静脈産業支援が環境破壊を増幅するような事例がいかに多いのか、そこをもっとしっかりと認識する必要があります。
とりわけ、食はわたしたちの生命に大きな影響を与えます。
食で身体を非健康にさせ、そこに健康食品や健康産業を創出させ、さらには医療市場を拡大させることも不可能ではありません。
いや、すでにそうした産業コンプレックスが動き出しているのかもしれません。
その動きを感じているのは、私だけでしょうか。
しかし、食は産業のためにあるのではありません。
産業支援の視点ではない食産業の評価システム、たとえば生命的な評価システムが導入されるべきではないかと思います。
どうやってそれを作るか。今の行政では無理でしょう。NPOなら可能でしょうか。
この問題は、とても刺激的なテーマです。
ところで、私が最近危惧しているのは「食育」ブームです。
食育もまた産業支援のためのものでなければいいのですが。
食育に関しては、いろいろと思うことが多いのですが、いつかまた書きたいと思います。
食育は文化にかかわることだからです。
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コメント
白が黒く・・・まさに黒い恋人になってしまいました。企業のモラルの低さいい加減にして欲しいですよね。
投稿: toshiki | 2007/08/18 16:52