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2007/09/14

■節子への挽歌10:なぜ謝らないのかと節子はいうでしょう

節子は正義感の強い人でした。
彼女の信条は、嘘をつかない、迷惑をかけない、でした。
節子はまた、「非常識」な行為が嫌いでした。
私はけっこう「非常識な言動」が多い人でしたので、よく注意されました。
けんかになったことも少なくありません。
もっとも私の行う「非常識」と彼女が嫌いな「非常識」とは少しニュアンスが違いました。
彼女が許さなかったのは、並んでいる列を乱したり、電車の座席に座り方が悪かったり、道に吸殻やゴミを捨てたりすることでした。
私もそうした行為は許せない性格です。
もっと大きな問題もありました。

うまく書けないのですが、ともかく正義の人でした。
その矛先は政治家やタレントなどにも向けられていました。
食べ物を粗末にする番組にはいつも怒っていました。
パイの投げあいの場面を見ると本当に怒り出しました。
野球の優勝チームのビールの掛け合いなどは彼女の受け入れるところではありませんでした。
おかしな格好をして出てくるタレントも嫌いでした。
言葉遣いもうるさかったです。

間違ったことをしたのに謝らない人は大嫌いでした。
それもただ謝るのでは満足しませんでした。
私は思い込みが強い人間なので、よく間違いを犯しますが、間違いに気づいた途端に言動が豹変し、すぐに「ごめん」というタイプです。
しかし、節子は、そんな軽い謝り方はだめだといつも怒りました。
謝るなら心を込めろというのです。

安倍首相の記者会見を見ていた娘が、お母さんが見ていたら、安倍さんはどうして謝らないのだろうと言うねと言い出しました。
そういえば、朝青龍も謝らないですし、最近はみんな謝らなくなりました。
謝る文化が消えつつあるのでしょうか。

テレビの安倍さんをみながら、できもしないことを引き受けたらだめだよね、と娘たちと話していて、実は自分もその過ちをしてしまったことに気づきました。
節子を治すといいながら、治せなかったのです。

私はいま、毎日、節子に謝っています。
節子を守ってやれなかったことを心から悔やんでいます。
取り返しのつかない間違いでした。
一生謝り続けるつもりですが、まあ以前と同じく、軽い謝り方なので、節子は怒っているかもしれません。
ちなみに、謝るのは節子のためではなく、私のためなのです。
取り返しのつかない間違いも、すべて節子は許してくれるはずですから。
それも私たちのルールでした。

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