■節子への挽歌13:白い花に囲まれた祭壇
節子が息を引き取って、半月たちますが、今も毎日のように花が届きます。
節子が花好きだったことを知っている友人が花を持参してくれたり、送ったりしてくれるおかげです。
花が届くのはとてもうれしいのですが、「お供え」の花なので、みんな同じ雰囲気です。
なかには近所の子どもが持ってきてくれた華やぐような花もありますが、それ以外は白い花が基調です。
華やかな花が届くのは場違いなのかもしれませんが、白い花ばかりに囲まれていると少し気分が沈みます。
葬儀の時に、節子は華やかな花で送られたいといっていました。
たくさんの生花を送ってもらえたのですが、今回は葬儀をお願いしたところの方針で、生花はすべて菊が基本でした。節子の希望を伝えましたが、だめでした。
当日、その会社の社長にそのことを話したら、少しだけユリを増やしてくれました。
菊は長持ちしますが、ユリなどはあまり持ちません。
娘の朝最初の仕事は節子の周りに飾られている花の整理です。
いつも元気な花に囲まれているようにこまめに枯れかけた花を抜いていますが、これは結構大変です。
葬儀場ではとてもフォローできないでしょう。心がなければできません。
白は心を清める色ですが、ずっとその中にいると気分が白くなります。
これは冗談ではなく、心の表情がなくなっていくということです。
そして無性にさびしくなります。
これがこの2週間、白い花に囲まれて過ごしてきた私の実感です。
そろそろもっと華やかな花がほしくなり、庭のひまわりと花虎ノ尾を飾りました。
祭壇の表情が少し変わりました。
節子は花が好きでしたが、私は節子に花を贈ったことはありませんでした。
ちょっと遅くなりましたが、花屋に花を買いに行こうと思います。
いつも私のまわりに花を置いてくれていた節子への、初めての花の贈りものです。
ちょっと気は重いのですが、節子にほめてもらえるかもしれませんので。
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