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2007/10/25

■逮捕される人、されない人

連行されるミートホープ社の田中社長の姿をテレビで見ていて、とても気の毒な気がして仕方がありません。
確かに悪いことをしたのでしょうが、どこかで私は同情してしまいます。
何が悪かったのか。
偽装が悪かったのであれば、いまやほとんどすべての商品は偽装ではないかともいいたいです。
偽装などとは無縁だという工業商品や建造物があったら教えてほしいものです。

そのニュースに続いて、薬害肝炎と守屋前防衛事務次官の事件が報道されましたが、そこに関わっている人たちはいずれも逮捕されないのでしょうか。
逮捕する人は「民」であって、「官」と繋がっている人は逮捕されないのかなどと妄想を働かせたくなります。
薬害肝炎のニュースでは、厚生労働省の職員を前にして、被害者が、あなたたちは私たちが死んでもいいと思っているのでしょうと詰問していましたが、実際に彼らはそう思っていたはずです。
生命の尊厳性など感じていなかったとしか思えません。
彼らにとって、「死」は統計上の数字でしかないからです。

守屋さんはどうだったでしょうか。
自らの行為が、どれだけ多くの人命に関わっているかは、全く思ってもいないでしょう。
しかし、防衛とは常に生死にかかわる問題です。
もちろん日本国民に限りません。
自衛隊のイラク派兵が、どれだけの人命を殺傷したかはわかりませんが、軍隊を動かすということはそういうことです。

その点で言えば、最近の日本で最大の殺人準備行為をしたのは小泉元首相でしょう。
彼は日本を「戦争国家」に変えました。憲法の理念を踏みにじったのです。
それによってどれだけの人がこれから殺傷されるのでしょうか。
考えただけでもぞっとします。
しかし彼らの行為を支援したのは、かつてのドイツ国民と同じく、私たち日本国民なのです。
私も、その一人なのですが。

そうした大きな犯罪は見過ごされます。
小さな犯罪を起こした民たちだけが逮捕されます。
民も後ろ盾があれば逮捕を免れます。
金融業界の人たちは、たとえそれによって死者が出ようと見過ごされています。

ミートホープ社の田中さんの連行の画面を見ていて、憤りが再発してしまいました。
弱い者たちは、いつの時代にもいじめられます。
いじめを支えているのは、同じ弱いものたちなのです。
しかし、その弱い人たちが歴史を切り開いていく人たちでもあるのです。
田中さんの再起を期待します。

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