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2007/10/18

■節子への挽歌44:「普通に暮らせることが一番の幸せ」

節子の口癖のひとつは、「普通に暮らせることが一番の幸せ」でした。
私も相槌をうっていましたが、いま思えば、その意味を全く理解していませんでした。
その一事をもってしても、私の生き方の不誠実さがよくわかります。

「普通に暮らせること」とは何なのか。
これは難しい問題ですが、節子の言いたかったのは、昨日と同じように今日もすごせるという意味でした。
このことは節子には大きな意味を持っていました。
台所に立てる時間が少なくなってきた頃、節子はとてもさびそうでした。
私はその寂しさをあまり深く思いやることができていなかったように思います。
また前のように食事をつくれるようになれるから、と言っていました。
元気付けるつもりだけではなく、本当に私はそう思っていました。
その時の節子のさびしさを理解しようとしていなかったのです。

明日は今日よりも良くなるようにと、私たちはついつい思いがちです。
でも大切なのは、昨日と同じように過ごせることが大事なのだと、ようやく私も気づきました。
宮沢賢治の「雨にも負けず」を読み直してみました。
不思議ですが、涙が止まりませんでした。
やっと賢治の気持ちが少しわかったような気がしました。

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