■円天事件と現実の経済社会
「円天」が出資法違反でやっと捜査の対象になりました。
それにしても遅すぎます。
テレビなどでは以前から問題にされていましたし、
放置していたら被害は拡大する一方なのは明らかでした。
この種の事件に対して警察などの動きは、いつも遅れます。
偶然だとは思えません。
それにしても、少し考えただけでおかしいと思うはずなのに、なぜみんなだまされたのでしょうか。
かなり問題が明確になり、テレビなどで指摘され出してからも、
テレビに向かって円天生活を満喫していると答えた女性たちは、経済感覚のない有閑マダムたちだあったのでしょうか。
そうであれば、所得の再配分が行われただけですから、気にすることはないのですが、なかにはなけなしの貯金をはたいた人もいるようです。
しかも、紹介システムがありますから、友情を壊してしまった事例も少なくないでしょう。
お金はまあ仕方がないとしても、友情や信頼は一度失われたら回復は至難です。
そして、それが社会全体を壊していきます。
ちなみに、この事件では被害者が加害者になる構造にありますが、
舛添発言の時に書いた、仲間の問題は自らの問題ということの典型的な事例です。
ここまでは極端に顕在化しなくても、この構図はすべてに当てはまります。
弁護士にも自治体職員にも。
なぜなら制度を支えているのは、みんなの意識と行動なのですから。
ところで、円天に関して、今日の朝日新聞の天声人語にこう書いてありました
。(エル・アンド・ジーは)ネット上などに独自の市場を開き、そこで使える疑似通貨を、「使っても減らない金」と宣伝して会員を募っていた。この文章を読んでいて、もしかしたらここで「本物のカネ」とされている「円」あるいは「ドル」も、結局は円天と同じなのではないかという気がしてきました。
使い切っても、また全額補充してもらえる。その疑似通貨を「円天」と称していて、天から降るカネを思わせる。眉唾(まゆつば)のカネを客寄せにして、巨額のカネ(本物)を集めていた。年利36%の配当をうたって、全国の5万人から1000億円を集めたというから驚く。
通貨と擬似通貨の違いは何なのでしょうか。
紙幣発行権を持つ政府当局や日銀、大銀行のトップの顔とエル・アンド・ジー会長の顔がダブって見えてきてしまいます。
あるいは、社会保険庁や自治体の職員にとって、「円」は「円天」のようなものだったのではないかと思いました。
現在の経済システムは、円天のシステムと大きくは違わないのではないか。
そんなもろい土台に上に、私たちの経済は成り立っているような不安をぬぐえません。
円天生活ならぬ、円生活を楽しんでいて、いいのでしょうか。
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