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2007/11/04

■節子への挽歌61:世界で5番目に幸せにします

節子からいつもからかわれていたことがあります。
結婚する時に、私が「結婚したら世界で5番目に幸せにする」と約束したことです。
私は生活信条として嘘はつかないことにしています。
「世界で1番」は無理だけど、5番目くらいなら何とかなるだろうと考えたわけです。
節子は、なんで「5番目」なのといつも笑っていました。
節子はたぶん、私がその約束を果たしたと思ってくれていたはずです。
時に「世界で1番幸せ」とも言ってくれました。
ちなみに私は節子のおかげで「世界で1番幸せ」になりました。
でも、それはお互いがいればこそであっての「5番目」であり「1番目」でした。

誰かから与えられる幸せはほどほどがいいです。
その幸せがずっと続けばいいのですが、その「誰か」がいなくなれば、その幸せはもろくも崩れてしまうからです。
最近まで、実は私はそう考えていました。
「世界で1番幸せな男」は、いまや「世界で1番不幸な男」になってしまった、と。

しかし、どうも違うようです。
「世界で1番幸せな男」は、「世界で1番幸せだった男」になってしまっただけの話です。いや、今もなお、「世界で1番幸せな男」なのかもしれません。

節子に向かって、毎日、こう話しています。
「節子のおかげで、幸せな人生だった」。
そういえば、節子も家族にそういう言葉を残してくれました。
「世界で一番幸せだったこと」が大切なことなのだと気づきました。
これからの人生は、そのおまけに過ぎません。
ですから、私はやはり「世界で1番幸せな男」なのです。

しかし、節子はどうでしょうか。
今でも「世界で5番目に幸せ」と思ってくれているでしょうか。

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