■節子への挽歌61:世界で5番目に幸せにします
節子からいつもからかわれていたことがあります。
結婚する時に、私が「結婚したら世界で5番目に幸せにする」と約束したことです。
私は生活信条として嘘はつかないことにしています。
「世界で1番」は無理だけど、5番目くらいなら何とかなるだろうと考えたわけです。
節子は、なんで「5番目」なのといつも笑っていました。
節子はたぶん、私がその約束を果たしたと思ってくれていたはずです。
時に「世界で1番幸せ」とも言ってくれました。
ちなみに私は節子のおかげで「世界で1番幸せ」になりました。
でも、それはお互いがいればこそであっての「5番目」であり「1番目」でした。
誰かから与えられる幸せはほどほどがいいです。
その幸せがずっと続けばいいのですが、その「誰か」がいなくなれば、その幸せはもろくも崩れてしまうからです。
最近まで、実は私はそう考えていました。
「世界で1番幸せな男」は、いまや「世界で1番不幸な男」になってしまった、と。
しかし、どうも違うようです。
「世界で1番幸せな男」は、「世界で1番幸せだった男」になってしまっただけの話です。いや、今もなお、「世界で1番幸せな男」なのかもしれません。
節子に向かって、毎日、こう話しています。
「節子のおかげで、幸せな人生だった」。
そういえば、節子も家族にそういう言葉を残してくれました。
「世界で一番幸せだったこと」が大切なことなのだと気づきました。
これからの人生は、そのおまけに過ぎません。
ですから、私はやはり「世界で1番幸せな男」なのです。
しかし、節子はどうでしょうか。
今でも「世界で5番目に幸せ」と思ってくれているでしょうか。
| 固定リンク
「妻への挽歌01」カテゴリの記事
- ■第1回リンカーンクラブ研究会報告(2021.09.06)
- 節子への挽歌1~4(2007.09.06)
- ■節子への挽歌200:今年のお彼岸の中日は雨でした(2008.03.20)
- ■節子への挽歌199:カトマンズのチューリップ(2008.03.19)
- ■節子への挽歌198:ミラボー橋(2008.03.18)
コメント