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2007/11/26

■パグウォッシュ会議と科学技術のシビリアン・コントロール

今朝の朝日新聞の「ひと」欄に、鈴木達治郎さんの紹介がされていました。
科学技術政策、とりわけ原子力分野で活躍している鈴木さんの発言は私のような素人にも伝わってくるものがあり、名前だけは覚えていました。
記事によると、鈴木さんはパグウォッシュ会議の評議員に選ばれたのだそうです。

パグウォッシュ会議。
実は先週、友人たちとやっている「技術と暮らしを考えるサロン」で話題になった会議です。
話題といっても、私が少し言及しただけですが。
パグウォッシュ会議は1995年にノーベル平和賞をもらいましたから、ご存知の方もいるでしょうが、最近はあまり話題にはなりません。
原子力の平和利用と核兵器廃絶を訴える科学者を中心とした会議体です。
核兵器開発が進むことを危惧した、バートランド・ラッセルとアインシュタインが中心になって、世界に呼びかけた「ラッセル・アインシュタイン宣言」に始まったものですが、今でも毎年、世界各地で大会が開催されています。

私が科学技術のあり方に興味を持ち始めたのは、このパグウォッシュ会議と遺伝子工学に関するアシロマ会議です。
アシロマ会議は遺伝子を扱う生物学の倫理問題を議論した、最初の国際会議だと記憶していますが、その2つの動きがどこかで繋がっていることを感じていました。
自分たちが開発に関わった原子力という科学技術が原爆に応用されたことが、パグウォッシュ会議の根底にあると思いますが、同じことを繰り返したくないという分子生物学者の思いをそこに感ずるのです。
そうしたことから、科学技術と人間生活の関係が私の関心事の一つになり、会社を辞めた後、この問題に取り組みたいと思ったこともありましたが、残念ながら力不足で実現できませんでした。

原子力問題はいまこの時代を生きるすべての人にとって、その暮らしに深く繋がっている問題であるにもかかわらず、その情報は相変わらず専門家にしか開かれておらず、多様な眼にはふれていません。
もっと開かれた場での、事実に基づく議論が不可欠だと思うのですが、そうした状況は生まれていません。
とても残念です。
しかも、20年前に比べても、そうした議論はむしろ閉じこもりがちなような気もします。
コンセンサス会議なども思ったほどには広がりません。

軍事力のシビリアン・コントロールがいま話題のなっていますが、科学技術のシビリアン・コントロールも私たちにとって重要な課題ではないかと思います。
そんな問題意識もあって、いま友人たちと「技術と暮らしを考えるサロン」をやっていますが、関心のある方がいたらぜひご連絡ください。
テクノロジー・ガバナンスは軍事力のシビリアン・コントロールにも深くつながっている問題です。

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