■企業不祥事続出の背後にあるもの
日経ビジネスオンライン2007年12月10日に「このままでは成果主義で会社がつぶれる」という記事が掲載されています。
その中にこんな文章がありました。
高橋俊介教授は、かつて日本企業が競うように成果主義を導入した際に、人事戦略コンサルタントとして数多くの企業から相談を受けた。「本来の成果主義は、仕事の成果に応じて報酬に差をつけることで、仕事に対するやる気を高めてもらうもの。だが、相談を受けた企業の中にそういった狙いで導入しようと考えていたところは1社もなかった」と言う。
とても複雑な気持ちを持ちました。
あれだけ話題になった日本の成果主義経営とは一体何だったのか、それを進めてきた企業コンサルタントの功罪は何なのか。
オープンブック・マネジメントをもっと広げられなかったことを反省し、残念に思います。
そのアンケートの結果では、日本型チームワークの文化が壊れてしまってきていることが指摘されています。
日本型チームワークが良いかどうかは、一概には言えませんが、そこで指摘されているのは、「メンバーの信頼関係」の崩壊だろうと思います。
ちなみに、昨今の日本での成果主義はチームワークを壊しているようですが、オープンブック・マネジメントはチームワークを育てる成果主義です。
私は、オープンブック・マネジメントの発想で企業経営を再構築すれば、すべての企業は必ず元気になると考えていますが、出版元の編集者にそれを理解してもらえなかったのが悔いとして残っています。
しかし、この話は機会を改めましょう。
目的と手段。それを間違うと効果が出ないどころか、弊害が大きくなるのが普通です。
薬を間違って服用すれば、時に死にもつながります。
政策手段を間違えば、地域活性化するはずが地域を破壊します。
「手続きの時代」においては、しかし、目的との関係性よりも手段それ自体が議論の対象になりがちです。それも極めて「各論」で、です。
そして薬害が起こり、年金の無駄遣いが起こり、企業の不祥事が起こります。
そこで欠落しているのは「つながり」と「全体像」です。
企業はいまや全体像から発想されるのではなく、目先の各論から行動が起こされます。
つまりコーポレートデザインの発想がないのです。
企業がなぜ不祥事から抜け出られないのか。
「ホロニックな全体像」と「信頼によるつながり」という、組織の基本がおろそかになっているからです。
そこを正していけば、組織はまた輝き出すはずです。
それこそが企業経営のコンサルタントのミッションではないかと思います。
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