■節子への挽歌106:不思議な雨
節子、そちらにも冬はあるのですか。
こちらは寒くなりました。
寒い冬でも半そででがんばっている近くのKさんからジュンが聞いてきた話です。
節子が自宅から斎場へと向かった日のことです。
「急に雨が降ってきたので外に干していた洗濯物を取り入れようと急いで外に出たら、斎場に向かう車が見えて、それで初めてお母さんが亡くなったことを知ったのよ。ところが車が通り過ぎてしまったら、嘘のように雨がやんでしまった」というのがKさんの話です。
それでKさんはお通夜に来てくださったのです。
「あの雨がお母さんのことを教えてくれた」とジュンに話してくれたそうです。
この雨のことは当日もいろんな人が話題にしました。
私にとっても本当に不思議な体験でした。
これに類した話はいくつかありますが、多くの人が共通して体験したという点では、この雨が一番です。
この雨は節子の涙だったのでしょうか。
もしそうであれば、滴(しずく)を残しておくべきでした。
とても残念です。
節子がいなくなってから、こうした不思議な現象はあまり起こりません。
いや考えようによっては、ないわけではありませんが、客観的に複数の人が共通体験した事象は起きていません。
当時はまだあなたは此岸にいたのに、今はもう彼岸に行ってしまったからでしょうか。
もう一度、あの雨を体験したいです。
節子、もう一度でいいから誰もが体験できることを起こしてくれませんか。
たとえば、明日の朝、起きたら、献花台の上に庭の黄色い木の実を置いておくのはどうでしょうか。
節子を感じられる証がほしくて仕方がありません。
とても会いたいです。
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