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2007/12/16

■節子への挽歌105:定年になってからではなくて、今から始めるのがいいです

節子 こちらは今日は晴れそうです。
そちらは晴れていますか。
いや、そちらにはそもそも晴とか雨とかあるのでしょうか。

1週間ほど前になりますが、あなたの友人のWさんから手紙が来ました。
その手紙を読んで涙がとまりませんでした。
仏前で読み上げようとしましたが、読めませんでした。
滋賀のAさんに訊いたら、Wさんは中学時代の同窓生だそうですね。
手紙を読んでいると、誠実な人柄が伝わってきます。

他にも、私は会ったことがない、あなたの友だちから手紙をもらっていますが、
いずれにもなかなか返事が書けずにいます。
節子ならきっとすぐにでも書くのでしょうが。

Wさんも、この3年、いろいろなことがあったようです。
私は知りませんでしたが、Wさんは看護職なのですね。
そのWさんのお義母さんが節子とほぼ同じ時間に旅立ったのだそうです。
Wさんはお仕事をされていて、3年前に定年になったそうです。
Wさんの手紙です。 

「器用に生きられない私は、ひとつのことにしか集中出来ず、定年までは仕事のみ。
その間を縫って、楽しみごとをする余裕を持ちませんでした。仕事が楽しみでさえありました。
節ちゃんとは、いつか、ゆっくり、語り合いたいと思っていました。
そのことは、私のこれからの人生の楽しみの大きなひとつでした。
(しかし)3年前、定年になるや否や、実家の母の看取り、
続いて、夫とその母の介護に明け暮れてきました」
この続きは生々しすぎて、とても書けませんが、考えてみると、私もきっとWさんと同じだったのかもしれませんね。
仕事が大好きでした。
その仕事に、あなたをつき合わせすぎてしまったかもしれません。
そんなこともあって、ちょっと一段落しようと2人で決めて、
10年以上続けてきたオープンサロンをやめました。
その時、石本さんから花束をもらった写真がホームページに載っていますね。
あの時は、節子はとても元気で輝いていました。

そして、節子とのゆっくりした時間を楽しもうと思っていた矢先の発病。
これからの生き方を一緒に考えようと思っていたのに、事態は思わぬ方向に動き出してしまったのです。
人生は、そううまく行くものではないとつくづく思いました。
それまでは私の人生は、まさに絵に書いたように自分の思う通りだったのですが、
それはすべて節子の支えがあればこそ、でした。

もし中高年の方がいたら、余計な一言を申し上げたいと思います。
伴侶と一緒にやりたいことがあれば、先に延ばさずに、いますぐとりかかるのがいいです。
節子、そうだよね。

Wさんは節子のことも書いてきています。 

「節ちゃんの生き生きした表情、クリクリっとした目、声、そして、前向きな生き方が伝わってくる話しぶり。節ちゃんにもう会えない!と思うと、本当にさびしいです」
私と出合った頃の節子も、本当に「クリクリっとした目」でした。
目が無いほどに細い私が、節子を好きになったのは、もしかしたらあの目のせいだったかもしれません。
輝くような目でした。
あの目に会えるのはいつでしょうか。

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