■「もはや経済一流ではない」
国会での太田経済財政相の経済演説が物議を起こしています。
そのひとつが「もはや日本は『経済は一流』と呼ばれるような状況ではなくなってしまった」という発言です。
その発言時、森、小泉、安倍元首相たちは笑いながら手を叩いていました。
自分たちの責任を全く感じていないことを露呈している風景でした。
太田さんはその後、「政治は何流ですか」というマスコミの質問に、「それは私の範疇外です」とこたえていましたが、政治は3流といわれて久しく、今やさらに政治は不在なので評価しようがないとしか言えないように思います。
「もはや経済一流ではない」ということですが、問題は評価基準です。
太田さんの演説の基調は、1940年代に始まったアメリカ資本主義的な成長力路線です。
OECDの中で一人当たりGDPは18位という言及もあります。
その成長志向経済が破綻に向かっていると私は思い続けていますので、
その分野で一流でなくなったことの意味をしっかりと考え、新たな経済政策を考えるべきだと思います。
つまり、かつて一人当たりGDP2位だったことの意味の吟味です。
日本が経済一流と言われた頃、私は会社にいて、まさに経済成長に寄与すべき仕事をしていましたし、
その後、バブルと言われる中で、経済的な贅沢の一端に触れて、
ちょっとおかしいなという不安もあって会社を辞めた人間です。
経済一流ということがもたらしたものは一体なんだったのでしょうか。
一部の人たちが贅沢三昧できる社会をつくりだすために、また経済一流を目指すのでしょうか。
経済を評価する基準を明確にしてほしいものです。
経済の目的は成長なのでしょうか。
経世済民、「世を經(おさ)め、民を濟(すく)う」という意味は過去のものなのでしょうか。
経済政策は、世や民のためのものではなく、お上やお金のためのものなのでしょうか。
成長は手段でしかありません。
経済成長しなければ、10年後の日本の社会は良くならないのでしょうか。
まさに経済に寄生している日本の政治が露呈しています。
かつて経済は、political economics と言われましたが、今
の日本の政治は、economical politics なのです。
経済の意味が大きく変わろうとしている歴史的時期にあるように思います。
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