■ラルフ・ネーダーのコンシューマリズムは何だったのか
米国の消費者運動家ラルフ・ネーダーがまた大統領選に立候補すると表明したそうです。
彼が起こした1970年代のコンシューマリズムは、私の人生観に大きな影響を与えました。
当時、企業の経営スタッフをしていた関係で、その動きを整理しトップに報告したことがあるのですが、
その過程で「消費」という概念の持つ落とし穴に気づいたのです。
当時の彼の主張には共感していました。
そのネーダーはこの数年、毎回、大統領選に立候補しています。
彼の支持層は民主党と重なるため、
2000年の選挙では、接戦の末に敗れたゴア副大統領(当時)の敗因を作ったと批判されました。
彼がもし立候補しなかったら、ゴアが大統領になり、イラク侵略は起こらなかったかもしれません。
環境問題への対応も少し変わったかもしれません。
その時から私のネーダーやコンシューマリズムの評価は一変してしまいました。
歴史を創ることはまた歴史を壊すことですが、
壊すのは過去や現在ではなくて、未来なのだとやっと気づいたのです。
善意と悪意はコインの裏表です。
各論最適は時に全体にダメッジを与えることがあります。
コンシューマリズムの根底には、ホリスティックな発想があればこそ、
私は共感したのですが、どうもネーダーにはそれが欠落しているようです。
善意の乱立こそが、悪意の最大の味方であることを、ネーダーには気づいてほしいです。
善意の乱立が、善意を悪意に転化させることを、いま民主党予備選挙は示しています。
ヒラリーも、オバマも、相手を間違っているような気がします。
アメリカに限りません。
日本のいまの政治状況もまた、まさにそういうことを明確に示しています。
ネーダーにはかつてのように、変革の風を現実的に起こしてほしいものです。
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