■節子への挽歌173:やっと咲いたオンシジウム
オンシジウム。ラン科の花です。
娘がオンシジウムが好きで、いろんなオンシジウムを集めているそうです。
ちょっと珍しく、節子も好きだったオンシジウムのひとつが節子が旅立った直後につぼみを持ちました。
例年よりかなり早いので、娘が節子の位牌の前にその鉢を供えてくれました。
「お母さんの好きだったオンシジウムが、今年はこんなに早くつぼみを持ったよ」。
ところがいつになっても咲きません。
ずっとつぼみのままなのです。
別の鉢の違う種類のオンシジウムはその間に咲いて散ってしまいました。
そのつぼみは年を越しました。
あんなに早くつぼみをつけたのにどうしてなのでしょうか。
この話を先週、娘から聞きました。
私は、わが家にそんなにいろいろなオンシジウムがあるとは知りませんでした。
節子のおかげで、同じ名前の花でも、いろいろ種類があることを知りました。
知っている名前が多いほど、その世界は豊かになります。
言葉の多さと世界の豊かさはつながっているね、と節子が言っていたことを思い出します。
節子は、知らない言葉に出会うと手帳に書く癖がありました。
そのくせ覚えないのですが、節子の、その真摯な姿勢にはいつも感心していました。
私の大好きな節子の一面です。
そのオンシジウムがやっと咲きました。
つぼみができてから何と5か月。
もしかしたら節子が宿っていたのではないかと思ってしまいます。
節子は、花や鳥になってチョコチョコ戻ってくると言っていました。
そういえば、オンシジウムのつぼみが和らぎ出した頃、朝にシャッターを開けて、節子の位牌の前のロウソクに火を点けていたら、ドンという音がしました。
驚いて窓のほうを見たら、飛んできた小さな鳥がガラスにぶつかったのです。
幸いに鳥は元気に飛び去りました。
この2つのことは、たまたまの偶然かもしれません。
その日から、なぜか節子が夢に出てこなくなりました。
これもやはり偶然なのでしょうか。
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