■節子への挽歌198:ミラボー橋
節子
本を整理していたら、アポリネール詩集が出てきました。
懐かしい本です。
シュールレアリスムという言葉(概念)の発案者、アポリネールは実にドラマティックな人生を送った詩人です。
モナリザ盗難事件の犯人に間違えられた事件が象徴しているように、彼のまわりにはきっと異常な空気が漂っていたのでしょう。
アポリネールの詩も、その生き方も、私にはなじみにくいものがあったのですが、それゆえにどこかで憧れを感じていました。
「ミラボー橋の下をセーヌは流れる」で始まるシャンソンの名曲「ミラボー橋」は彼の作品の一つです。
その一部を引用させてもらいます。
愛は流れ行く水のように去っていく詩の全体は、たとえばここをクリックしてください。
愛は人生は遅すぎるかのように
そして望みは無理であるかのように去っていく夜が来て、鐘が鳴り
日々は去り、我は一人。日々が去り、週が去って行くのに
時は去らず
愛は戻らない
ミラボー橋の下をセーヌは流れる
この時、アポリネールは恋人だった画家のマリー・ローランサンと別れた直後でした。
別れた後も、アポリネールはローランサンを忘れることができず、終生、彼女を慕い続けたそうです。
スペイン風邪のために38歳の若さで死んだアポリネールの枕元には、ローランサンが描いた「アポリネールと友人達」が架けられていたといいます。
この数十年、思い出しもしませんでしたが、堀口大學の訳の詩集が出てきたので、何気なく目を通していたら、あとがきに堀口大學の追悼詩がありました。
その一部引用させてもらいます。
・・・・節子がいなくなってからまだ1年はたっていませんが、
それから1年たった
今日は1919年11月9日だ
そしてなおもなつかしく私はお前を思い出す
お前を思うことは有難い
お前は涸れることのない詩の泉だお前は芽を出す種子だ
お前が死んでから1年たった
今日は1日お前を思い
お前の詩集「カリグラム」を読んで暮らそう
今日は1日節子を思い、無為に過ごそうと思います。
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