■節子への挽歌202:白い鳥によく会うのです
お彼岸に節子の墓参りに来てくださった、さいたま市の伊東さんが、涙ぐみながら、こう話してくれました。
最近よく白い鳥に会うのです。そういえば、わが家の庭には最近あまり鳥が来ません。
節子さんは、鳥や花になって戻ってくると言っていたそうなので、もしかしたら節子さんなのかなと思っています。
花は咲きだしましたが、鳥はあまり来ないような気がします。
全国の友人たちのところを飛び回っているためなのだと、やっと合点できました。
庭の餌台には大きな鳥や小さな鳥がよく来ました。
果物をよく乗せていたのですが、大きな鳥が来ると小さな鳥は逃げていきます。
同じ種類の鳥でも、強い鳥と弱い鳥がよくわかります。
自然の生命界もまた厳しい競争社会なのかもしれません。
大きな鳥が餌台を占拠すると、節子はいつも追い払っていました。
小さな鳥に餌を食べさせたかったのです。
節子はいたって単純な人でしたから、大きいほうが強いといつも考える人でした。
しかし、大きな鳥が強いとはかぎりません。
それに、鳥よりも大きい節子が鳥を追いやるのは弱いものいじめです。
小賢しい私などは、そう考えるわけですが、単純な節子はいつも小さい鳥の味方でした。
節子はいつも弱いものが好きでした。
だから私のことが好きだったのです。
私の弱さを、節子は良く知っていました。
ですから私は、節子の前では弱い自分を思い切り素直に見せることができました。
節子も同じでした。
私たちは、お互いに自分の弱さを思い切り相手に公開していました。
弱さがつながると強さに転化します。
ですから私たちはきっと強い夫婦でした。
その強さをこれからも維持していけるでしょうか。
節子
鳥になって全国を飛び回っていないで、早くわが家に戻ってきてほしいです。
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