■手段は目的を駆逐する
悪貨が良貨を駆逐する、というグレシャムの法則があります。
今日は「手段は目的を駆逐する」という法則の話です。
私もささやかに関わった、企業活力研究所の人材育成研究会が「企業ミドルマネジメントが十分な役割を果たすために」というタイトルの調査研究書を発表しました。
ホームページなどで何回か言及してきたこともありますが、この研究会では今回はミドルマネジメントの活性化がテーマだったのです。
全国1000人の企業ミドルマネジメントのアンケート調査や事例研究などを踏まえて、具体的な提言も盛り込まれているので、関心のある方はぜひご覧下さい。
企業活力研究のホームページに掲載されているはずですが、まだ載っていないとしたらまもなく掲載されると思います。
私がこの研究会の議論で気づいたのは、日本の企業には相変わらずマネジメントが不在なのではないかということです。
組織のフラット化が流行ですが、フラット化によってマネジメント概念が軽視されてきているのではないかと思います。
ピラミッド構造で仕事をしている場合、マネジメントというよりも管理や統制(コントロール)が効果的ですが、フラットな人間関係の中で効果的な仕事をしていくためには、まさに異質を束ね活かしていくマネジメントが重要になってきます。
日本でマネジメントが軽視されてきた原因の一つは、プレイングマネージャーの普及です。
この研究会でも話したのですが、プレイングマネージャーは、人減らしの手段ではなく、現場を知ることがマネジメントにとって重要な要素だという認識に基づくものだったのではないかと思います。
しかしいつの間にか、基軸が逆転してしまい、マネジメントは不在になっていきます。
そのひずみが、今の日本企業に現れているような気がします。
目的と手段の基軸が逆転することはいろいろなところで起こります。
たとえば企業には昔、企画調査部と企画管理部というのがありました。
企画のために調査や管理が必要だという発想から始まったところが多かったと思いますが、管理や調査という仕事がわかりやすいために、ほとんどの場合、企画はおろそかにされました。
目的と手段の関係は、いつも手段がわかりやすいために、力を持ち始め、中心になりがちです。
企業も政治も、もっと目的に戻って何が優先されるべきかを考えなければいけない時期になってきているように思います。
人生も、そうですが。
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