■ロングテールを対象にした仁義なき投機
投機マネーが世界を駆け巡っていますが、最近は「仁義なき投機」になってきています。
投機マネーは金銭的には富裕であるがゆえに文化の貧困な人たちのゲームですが、それが自分たちの世界で留まっている分にはそう大きな問題にはなりません。
貧相な生活をしている金持ちたちにも、それくらいの遊びは認めてやってもいいでしょう。
最初の世界的投機ブームとして有名な、17世紀のチューリップ投機はなんと球根ひとつが一般市民の平均年収の8倍にまでなったといいますから、馬鹿げた話です。
しかし、投機とはそういうものです。
所詮は球根ではないかとみんなが気づいたところで暴落して、投機バブルは終焉しました。
仕掛け人がいて、知性も文化も縁遠い金持ちとそこに憧れる寄生者たちからお金を巻き上げただけの話です。
仕掛け人にとっては、痛快なゲームでしかありません。
参加した人たちも、それなりに楽しんだはずです。
金持ちにとっては、破産もまた楽しみのはずです。
寄生者の中には被害を受けた人もいるでしょうが、まじめに汗して生きていた人の被害はそう大きくなかったはずです。
20年前の日本の土地投機はどうでしょうか。
土地を買えるほどの人は高い土地や住宅を買って損をしたかもしれませんが、まあそれによって生活が破壊された人はそう多くはないでしょう。
それにそういう人たちの多くは、バブル経済の恩恵もかなり受けていたはずです。
ところが、昨今の投機ブームはこれまでのものと全く違います。
投機の対象が、日常生活の基礎商品に向かったのです。
つまり、原油と食糧です。
現在の投機経済に、すべての人が巻き込まれてしまったのです。
これまでとは全く違った状況が起こったのです。
その認識があまりにも不足しているように思います。
やくざの世界のルールは、「堅気には迷惑をかけないこと」でした。
昨今はこうしたやくざの文化は失われ、堅気こそを狙う暴力団が大きな力を持ち始めています。
まさに「仁義なき闘い」が、任侠の世界からさえはみだしてきたのです。
それと同じことが、投機の世界にも起こりだしているのです。
金儲けだけを目指す金融専門家にとって、一番簡単で持続できる投機は「ロングテール作戦」です。
つまり貧しいけれど、まじめに働く生活者を対象にすることです。
原油や食糧は、チューリップの球根と違い、投機の対象だけでの価値ではなく、生活にも必須なものなので、突然に無価値になることはないのです。
それに投機経済は、サブシステムを超えて経済全体を支配する力を得てしまいます。
こんなに簡単な資金吸い上げシステムはありません。
しかし、それはおそらく「投機の世界」が、一線を踏み越えてしまったことを意味します。
今の状況が続くのは、せいぜい2年くらいでしょう。
暴落が始まった途端に起こる混乱がどうなるか、おそろしい気もしますが、それが天の裁きのように思えてなりません。
ソドムとゴモラの世界はもう終わりにしたいものです。
地球温暖化が、聖書に書かれている大洪水を起こすためのものであれば、甘んじて受けるのがいいのかもしれません。
金融資本主義が主流になるのであれば、人類が生存していく意味はないでしょうから。
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