■歩いていないと見えない風景
我孫子に長年住んでいるAさんと話していたら、最近、町中にあった大きな古木が切られて少なくなってきましたね、と嘆いていました。
わが家から駅までの道の端っこに大きな桜の樹があります。
道の端とはいえ、道の中ですので、自動車の通行には少し邪魔です。
かなりの古木ですが、春には見事な花を見せてくれます。
わが家の近くには、こうした道路の中に残っている古木が数本あります。
しかしだんだんなくなっていくことでしょう。
わが家の下にある手賀沼沿いの道は「はけの道」といわれています。
今はかなり荒れていますが、なかなかいい道です。
そこを再整備しようという市民会議が数年前にでき、私もそのメンバーでしたが、いろいろあって、結局、調査と課題の提案で終わってしまいました。
Aさんも、その道が気にいっており、よく散歩するそうですが、その道沿いの樹もだんだん切られてしまっているそうです。
その近くにある、とてもいい景観のところの巨木も切られるらしいと、Aさんは教えてくれました。
最近私は歩いていないので、近々歩いてみようと思います。
Aさんはもう70歳過ぎなのですが、最近は自動車も自転車もやめて、もっぱら歩いているのだそうです。
歩いていればこそ、見えてくることがあります。
私はこの1年、全く違う理由でまちを歩かなくなりました。
Aさんから、今日はいろいろと教えてもらいました。
歩くことの多いのは子どもとお年寄りです。
だからこそ、まちを一番良く知っているのは、子どもとお年寄りなのです。
ところが、まちづくりから一番疎外されていたのが、子どもとお年寄りでした。
彼らは「社会のお客様」だったからです。
最近、少し変わってきましたが、まだまだ「お客様視」する傾向は否定できません。
しかし、彼らこそ「まちの主役」なのです。
またCWSコモンズで紹介する予定ですが、長野県大町市でまちづくりに取り組んでいる傘木宏夫さん(NPO地域づくり工房代表)が最近書いた「つくってみよう まちの安全・安心マップ」と言う本を送ってきてくれました。
そこには、子どもが主役になって作成した「安全・安心マップ」の話が紹介されています。
そして、大人には知らないまちの実態を、子どもたちは知っていることをしっかりと教えてくれます。
お年寄りが主役になってのまちづくりは各地でよく体験します。
先月、お話させてもらった鹿嶋市では、お年寄りたちがまちづくりをしっかりと楽しんでいるのがよくわかりました。
「歩いていないと見えない風景」
これはなにも地域だけではありません。
時代もまた同じです。
歩いていないと時代の動きはわかりません。
忙しく走っている人には、変化する時代に巻き込まれてしまい、時代など見えないのです。
私が、時代を歩き出したのは、この2年ほどです。
自分が立ち止まることで、世界の動きが違って感じられます。
走ることも必要ですが、基本は歩くことです。
私たちは、最近、歩くことを忘れがちですが、人類の出発点は二足歩行でした。
まちを、そして、時代を、時に歩くことが大切だと、最近改めて思っています。
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