■節子への挽歌332:節子、黒岩さんの講演を一人で聴きに行きました
節子
黒岩比佐子さんの講演を聴きに行ってきました。
よみうりホールで開催されている、日本近代文学館主催の「夏の文学教室:東京をめぐる物語」の1セッションを黒岩さんが受け持ったのです。
テーマは、「1905年 戒厳令下の東京」です。
黒岩さんが最近関心を向けている日露戦争後の話です。
ちょっと早めに着いたのですが、なんと偶然にも入り口で黒岩さんとぱったり会いました。
講演前に余計なノイズを入れたくなかったので、一言挨拶しただけですが、あまりのタイミングのよさに驚きました。
会場は1100人の大会場ですが、参加者が多いのにも驚きました。
私の隣に、私たちよりも少しだけ若い夫婦が座りました。
それで気付いたのですが、夫婦で来ている人が少なくありませんでした。
不思議なことに、私たちよりも少し若い世代の夫婦が多かったような気がします。
シニアの方は、男性も女性もむしろシングルでした。
そして私も、その一人でした。
そんなことを考えていたら、急に節子のことを思い出しました。
なぜ隣に節子がいないのだろうか。
黒岩さんの講演中は、おかしな話ですが、隣に節子がいるような気がしていました。
しかし、黒岩さんの話が終わったら、急に何だか寂しくなってしまいました。
次のセッションも聞こうと思っていたのですが、急に会場を出たくなってしまいました。
外に出ると、すごい暑さでした。
何だかいつもと違う風景を感じて、急いで帰りました。
どうもまだ精神的安定感を得られずにいます。
節子
ともかく君の旅立ちは早すぎたよ。
黒岩さんの話はとてもわかりやすく面白く、節子にも聴かせたかったです。
黒岩さんは私たちが湯島でやっていたオープンサロンの常連でした。
どうしてあんなに次から次へと話が出てくるのだろうか、と節子はいつも感心していました。
たしかに黒岩さんの話はよどみなく出てきます。
ともかく頭の中にあふれるほどの情報、それも自分で確認した情報があるのです。
きっと大活躍する場が与えられる人だろうけど、あんなにがんばって心配だともいっていましたが、その節子がこんなに早く旅立ってしまうとは、私も黒岩さんも思ってもいませんでした。
今の黒岩さんの活躍ぶりを見たら、節子はきっと喜ぶでしょう。
その黒岩さんの講演を一緒に聴けないことが、とても残念でした。
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