■失われたオリンピック遺産の思想
オリンピック開会を直前にして、新疆ウイグル自治区で危惧されていたテロ事件が起きました。
ウィグル族に対する人権侵害については先日も少し触れましたが、平和の祭典とも言われたオリンピックが、いまやテロ誘発の祭典になってしまっていることは残念なことです。
オリンピックが近づくにつれて、ウィグル族への抑圧は強まっているようですが、戦争中でもオリンピックの時には休戦したといわれる、古代ギリシアのオリンピック行事とは全く正反対なものになっていることの意味を、しっかりと考える必要があるように思います。
先週、アムネスティ・インターナショナルは『オリンピック・カウントダウン―破られた約束』という報告書を発表しました。
そこで、中国政府は人権状況を改善するという同国の公約を破りオリンピックの本質的価値に背いたと述べています。
アムネスティ関係者は、「中国政府はオリンピックの遺産を傷つけようとしている」とも述べています。
オリンピックの価値を壊しているのは中国政府だけではありませんので、この指摘には反発を感じますが、否定できない事実かもしれません。
ウィグル族やチベット族の怒りは共感できますが、
テロは相手と同じ次元の行為ですから、共感は全くできません。
相手と同じ行為をした途端に、人は相手と同じ仲間になってしまいます。
「死には死を」ではなく、「死には生を」こそが目指されなければなりません。
異議申し立ての方法はいろいろあります。
しかし大切なのは、共感者を広げていく方法です。
テロとは違う、「チベットに祈りの灯火を」という呼びかけもあります。
北京オリンピックの開会式の前日に、チベットの自由を祈って、キャンドルを灯そうという活動です、
キャンドルに限っているわけではありません。
開会式の開始に合わせて、それぞれができる手段で明かりをつけて、「地球規模の大いなる光の抗議(意思表示)」をしようという呼びかけもあります。
詳しくは「チベットに祈りの灯火を」のサイトをご覧ください。
私自身は、「チベットに祈りの灯火を」ではなく、「すべての人たちに祈りの灯火を」という気持ちで、この呼びかけに応えるつもりです。
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