■人間を壊すオリンピック
最近の企業は人間を壊す場になっていると以前書いたことがあります。
いま盛り上がっているオリンピックもまた、人間を壊す仕組みになってきていることも何回か婉曲に書きました。
オリンピック報道はあまり見ていないのですが、見る度に気になることが起こります。
柔道の石井選手が金メダルを取りました。
その試合を見ていましたが、前に向かって進む石井選手の姿勢にとても好感を持っていました。
ところが、その後の石井選手の発言を聞いて、恐ろしくなりました。
「自分はスポーツをやっていない。戦いだと思っている」
「自分は殺し合いのつもりでやってる。プレッシャーというか恐怖感があった」
こんな考えで柔道をしていたのか、と悲しくなったのです。
柔道を始めた加納治五郎はどう思っているでしょうか。
これが事実であれば、石井選手には柔道をやる資格はないように思います。
「残り30秒でリードしてたら、自分は絶対に逃げる」とも話しています。
柔道もここまで堕ちたのでしょうか。
同じ日に、女子柔道の塚田選手の決勝戦もありました。
娘と見ていましたが、あと20秒というところで、それでもここで一本取られたら逆転だから気が抜けないね、と話した途端に、一本取られてしまいました。
しかし、塚田選手は石井選手と違い、逃げることなくどうどうと最後まで前に出て行っていました。
石井選手の金よりも、塚田選手の銀のほうが、私には輝いて見えました。
終わった後の彼女の発言も好感が持てました。
テレビ番組で石井選手は「優勝できなかったら腹を切るつもりだった」と言ったそうですが、そこまで若者を追いやる状況は、堂考えても狂っています。
若者を壊すことのないよう、関係者は考え直すべきではないかと思います。
石井選手にとっては、柔道はスポーツではなく、戦いであり、オリンピックは平和の祭典ではなく戦場だったのです。
なぜ彼はそう考えるようになったのか。
恐ろしい話だと思いませんか。
オリンピックはやはり人間を壊す仕組みになっているのではないかと、とても気になります。
金だ銀だと喜んでばかりはいられません。
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