■節子への挽歌376:愛する人を亡くした人に元気を与える秘訣は、愛する人のことをほめること
一周忌の前後に、いろんな方からお手紙をもらいました。
その中に、節子に会ったことのなかった女性の方からの手紙がありました。
とても長い手紙でした。
節子に読んで聞かせたい文章が出てきました。
親馬鹿ならぬ夫馬鹿な行為として、引用をお許しください。
お会いした事は一度もございませんが、いつも頂戴していたお葉書のやさしい文章や達筆な文字に、私がファンにならない筈がありません。節子は病気になってからは字がうまくかけないといつもぼやいていましたが、手紙を書くのが好きでした。
お会いできなかった事は大きな悔いを残してしまったように思います。
この女性は、私の友人の奥様です。
友人にお世話になった時に、私の代わりに節子がいつも礼状を書いてくれていたのです。
それがわが家の役割分担でした。
その方は、節子の手紙が気に入ってくださったのです。
節子は昨年の春以来、手紙が書けなくなり、その人からの手紙を読むほうにまわっていましたが、今回いただいた彼女からの手紙は節子に読ませたかったです。
ずっと節子の位牌の前に置いておきましたから、きっと読んだでしょうが。
いただいた花にこんなメッセージもありました。
「もう1年、節子さんの笑顔を思いだして」
娘の友人は、「お母様の優しさを思い出します」と書いてくれました。
いろいろな人が、いろいろな形で、節子を偲んでくれているのです。
先日、オフィスに久しぶりに来てくれた若い友人は、
私たち夫婦の関係について、とても興味があるようで、いろいろと質問されました。
彼はまだ夫婦暦は10年強なので、まだ10年早いよと応えましたが、夫婦暦40年にもなると、伴侶の喜怒哀楽はすべて自分のそれと同値になるような気がします。
主体性の弱い私だけのことかもしれませんが。
若い友人は、どうしたらそうなるのか興味を持ったわけです。
このブログを読んで、奥さんに会いたかったという人が何人かいました。
手紙も何通かもらいました。
このブログではきっと節子のことが美化されているのでしょうね。
しかし、私の正直な気持ちは、これでもかなり抑え目に書いているのです。
まあ、娘とはかなり評価はわかれるのですが。
伴侶をほめてもらうことがこんなにうれしいことなんだと、最近改めて思います。
しかし、奥さんのことばかり考えていると奥さんが悲しむよと言う人もいます。
これはたぶん「禁句」です。
生きている人のことを思っての発言なのですが、愛する人を亡くした人は、自分よりも愛する人のことを大切に考えているのです。
ですから、そういってくれる人の思いやりは理解できますが、心は冷えてしまいます。
愛する人を亡くした人に元気を与える秘訣は、愛する人のことをほめることと、その思いに浸っていることを肯定してやることかもしれません。
まあ、人によって違うでしょうが、私の場合はそうです。
これは、当事者になって初めてわかることかもしれません。
人の心は本当に微妙で複雑です。
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