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2008/09/16

■「システムという名の支配者」

米証券大手のリーマン・ブラザーズがついに米国破産法の適用を申請しました。
それがどれほどの影響を、世界に与えるかは私にはわかりませんし、大きな歴史の転換の始まりにもつながるような期待もありますが、当面はただただ混乱し、そのプロセスの中でまた「悪い識者たち」が活躍して肥え太るかと思うと苦々しさもあります。
日本の金融界のだらしなさとは違うでしょうが、金融界は所詮は「サブシステム」でしかありませんから、その向こうにいる人たちの事業は見事に成功したのでしょう。
郵政民営化よりも大きなお金を得たでしょう。

こうした事件で決まって出てくるのが、サブプライム問題ですが、サブプライム問題などに問題の本質があるわけではありません。
黒幕はいつもその後ろにいます。
サブプライムをカモフラージュした金融工学が生み出したシステムにこそ本質があります。
間違ってはいけません。

同じ問題は最近の日本の事故米(事実を隠蔽する命名です。そこにこそ誰が実行犯かが垣間見えます)事件にもあります。
たしかに三笠フーズは問題ですし、宮崎某の言動はあきれます。
もし死刑制度が認められるのであれば、こうした人物こそを死罪にすべきです。
しかしその後ろにはもっと極悪人がいます。
それを見落としてはいけません。

システミックリスクという言葉があります。
市場の一部において発生した破綻などの異常事態により発生した決裁不能が、市場全体に波及するリスクのことです。
そのリスクは、多くの場合、個人にはコントロールできませんが、レバレッジ効果は極めて大きいです。
それがどこに向かうかは大きな問題ですが。

システムはつねに2面性を持っています。
リスクを縮減する効果とリスクを増幅する効果です。
自然が構築してきているシステムには、見事なホメオスタシスが働き、リスクは縮減され、発生した不都合は収斂されます。
しかし人間が中途半端な知識(知識とはすべて中途半端です)で構築したシステムは、それが複雑になるほどにホメオスタシスが逆作動しがちです。
しかも問題が見えなくなります。
そこにこそ、悪事を考えている人にとっての組織の有用性があるのですが。

よく言われるように、1990年代の日本の金融危機は金融機関の不正行為が出発点でしたし、そこに欧米の金融ビッグバン圧力がかぶさった結果です。
まだ原因やプロセスが見えました。
つまりコントローラブルだったのです。
しかし昨今の金融危機は、システムそのものに内在した問題です。
問題をシステムに内在させることで利益を得ることができた人がいるわけです。
小賢しい金融工学の専門家が、そうした悪事に仕えたのです。
学者は時に悪魔の手先になります。
原爆開発もそうでした。
そして自らを滅ぼしていくわけですが、その悪事に気づかないところが不幸なことです。

また議論が過激になり、拡散してしまいました。
問題はサブプライム問題でも、三笠フーズでもないということを書きたかったのです。
システムの持つ恐ろしさを改めて思い起こす必要があります。

チャールズ・ライクの「システムという名の支配者」(1995 早川書房) という本があります。
前に一度書いたことがあります。
最近の状況を見事に予言している本です。
図書館などで見つけてぜひお読みください.
チャールズ・ライクの「緑色革命」は、若い頃の私に影響を与えた1冊です。

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