■節子への挽歌394:リーダーのいない家族工務店
節子
久しぶりに家族工務店が復活しました。
家族3人で節子の位牌壇を置いている場所の改装工事をしたのです。
住宅のメンテナンスをお願いしている会社に見積もりしてもらったら6万円でした。
見積もりをとってくれた娘が、自分たちでやろうと言い出しました。
私も、節子がいたらきっと自分たちでやるだろうなと思いましたので、賛成しました。
節子は生活上のことは、できるだけ自分たちでやるという人でした。
つまり「百姓的生活」者です。
百姓は決して農業の専門家ではなく、生活のための百の姓(仕事)をする生き方です。
私の理想とする生き方ですが、私にはできなかった生き方でもありました。
節子はそれができる人でした。
節子と結婚して以来、私の生活はほとんどすべて節子に支えられだしたのは、そうした節子の百姓的生活志向によるところが大きいです。
私も一応、日曜大工が好きでしたが不器用なのです。
朝日新聞の連載漫画の「ののちゃん」のお父さんと同じで、私のつくる椅子はすぐ壊れ、棚は不安定なのです。
それに途中で飽きてしまって,やめることも少なくありませんでした.
家電製品は分解して、それで終わりなので、直ったためしがありません。
壊れていないものまでも壊すというのが家族の評価でした。
節子と結婚した当初は、私が修繕担当・工事担当でしたが、そんなわけで、ある段階から節子がリーダーになりました。
子どもたちが小さかった頃、節子がベランダのペンキ塗りをやろうと言い出しました。
4人での大仕事でした。
近所の人もきっと驚いたでしょう。
少し仕上げはムラなどがありましたが、うまくいきました。
室内の壁紙貼りも家族の仕事でした。
それが節子の文化で、わが家ではそうした家族工務店活動が盛んでした。
私の還暦祝いで庭に池をつくったのも、この家族工務店です。
下の娘が節子以上に器用なので、その文化を継承しました。
上の娘は私とほぼ同じ性格なので、途中でやめたくなるタイプですが、協力的です。
昨日の日曜日、急にその工務店が復活しました。
3人で近くのDIYのお店に行って材料を買ってきました。
改装工事といっても、石膏ボードで空間をふさぎ、そこに周辺に合わせて壁紙を貼るだけのことですが、目立つところなので綺麗に仕上げないといけません。
壁紙の貼り方は節子が娘に伝授していました。
「リフォームをプロの人に頼んだ時、お母さんはずっとそのやり方を見ていて覚えたんだよ。その人は仕事がしにくかったろうね」
と娘が教えてくれました。
しかし、そのおかげで壁紙貼りはプロ仕様になりました。
結局、材料費などの現金出費は2000円以下でした。
終わった後のケーキ台を含めても3000円。
節子が居たらケーキも作ったでしょうが。
節子の文化のおかげで、わが家は本当に現金出費が少ないのです。
それに百姓的生活は、私にはとても快適です。
疲れますが。
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