■節子への挽歌366:夜来香(いえらいしゃん)
庭に夜来香があります。
もう咲き終わっていますが、今年の夏はよく咲きました。
香りがとても強い花です。
節子は我孫子の女性合唱団「道」に入らせてもらっていましたが、
そこで「夜来香(いえらいしゃん)」の歌を練習していたことがあります。
節子が生まれる1年前に中国で作曲された歌で、日本でも山口淑子(李香蘭)が歌って有名になりました。
夜になると香りを強く発します。
今朝、庭で娘から、この木はコーラスで習っていた時に節子が花屋さんで見つけて買ってきたのだと教えてもらいました。
昨年の夏、節子の病室の外で初めて咲いたのだそうです。
昨年は、あまり余裕がなく、はっきりとは覚えていませんが、
そういえば、あけた窓から香りが少し届いていたような気がします。
ベッドから見えるところに、ジュンが持ってきてくれていたのです。
そんな話をしながら、コーラスの誰かが来るかもしれないねなどと娘と話していました。
でももう1年も経つし、まさかこないだろうと思っていました。
ところが、です。、
午後、来客がみんな帰ってだらっとしていたら、女声合唱団「道」のメンバーが献花に来てくれたのです。
しかも12人もの大勢です。
熟女がこれだけそろうといささか狼狽します。
いささかあわててしまいましたが、とてもうれしくて、
献花だけではなく、昨日、開眼供養してもらったばかりの大日如来をお引き合わせさせてもらいました。
大日如来も毎日、こんなにたくさんの人たちが拝んでくれるので、驚いているかもしれません。
いえ、不思議なことに、この大日如来がやってきてから、
いろんな人が来てくれますから、
これこそまさに大日如来のお心遣いかもしれません。
あるいは、夜来香の香りのおかげでしょうか。
みなさんにも夜来香の話をしました。
それにしても、みなさんが節子のことを気にしていてくださるのが、なによりもうれしいです。
節子からは、皆さんのお名前もお聞きしているのですが、
いつも大勢で来てくれるので、お名前と顔が結びつきません。
いつもうまく感謝の気持ちが伝えられずに、節子がきっと気にしているだろうなと思います。
節子は本当にやさしい仲間に恵まれていました。
うらやましいほどです。
道のみなさんは、鉢付きの赤いミニバラを中心にしたパケットを持ってきてくれました。
節子のことをよく知っていてくれているのだなと、それもまたうれしくなりました。
赤いバラは節子の好きな花ですし、鉢付きの生きた花が好きでした。
このミニバラは、きっとわが家の庭に根づくでしょう。
それにしても、どうしてみんな、こんなにやさしいのでしょうか。
歌を歌っているからでしょうか。
今日は2回も挽歌を書いてしまいました。
いつか1回、挽歌休刊日ができそうです。
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