■信用取引と margin transaction
信用取引とはどういう意味かご存知でしょうか。
手元の集英社の国語辞典(1993年版)には、一つの意味として、「当事者どうしの信頼を前提として成り立つ取引」とあります。
信用取引は、英語では margin transaction です。
そして、marginを辞書で引くと、「信用」という言葉は見つかりませんでした。
もっとも「証拠金」という意味がありますので、それを「信用」と置き換えて説明している人はいます。
しかし、信用取引と マージン取引(margin transaction)とでは、かなりイメージが違うような気がします。
ちなみに、上記の国語辞典の信用取引のもう一つの説明は、「証券会社が、客に融資や株を貸して行う有価証券の売買取引」とあります。
今から15年前の辞書ですので、最近のものは変わっているかもしれません。
この15年で大きく広がったのが、margin transactionにおけるレバレッジ効果です。
その普及により、「信用」の意味合いは全く変わりました。
いえ、marginの意味合いと言うべきでしょうか。
どう変ったかといえば、「信頼」はおろか、「信用」できない人にも取引に参加させる仕組みを構築したのです。
先日、アメリカのクレジットカード社会の実態を報道ステーションで紹介していました。
creditはまさに「信用」に相当しますが、信用できる人だけを相手にしていたら、市場は広がりませんから、クレジットカードのポイントは、信用できない人を巻き込む仕組みなのです。
アメリカの消費市場は、こうしたさまざまな仕組みで成長を遂げてきたわけです。
前にも書きましたが、20世紀後半の経済を先導してきたのは「生産」ではなく、「消費」です。
「信用」できない人にも取引に参加させる仕組みに、「信用」という言葉が使われているところにカジノ資本主義の巧みさがあります。
サブプライムローンの破綻は、最初から仕組まれていたと私が思うのは、そのためです。
わずかばかりの「信用」をレバレッジの仕組みを使い、市場化したのです。
いわゆるロングテール市場を収穫可能にしたわけです。
そしていまやすべての人が(生活保護者でさえも)収穫対象になっているわけです。
私たちは言葉で考えてしまいます。
言葉に騙されてはいけません。
横文字で騙すのはまだいいほうです。
注意すべきは日本の言葉です。
そういい続けて30年経ちますが、私の文章の横文字の多さは、今でも評判は良くありません。
残念です。
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