■円高株安の奇妙さ
円高株安がとまりません。
実体経済にも影響が出だし、株式投資とは無縁な生活者にも影響が出ているとマスコミは報じています。
事実、円高で減産になったり銀行の貸し渋りでキャッシュフローがまわらなくなったりする問題が中小企業にも起こっているようです。
資金運用面での損失が、年金の源資を目減りさせているし、投資信託などに預金している庶民の財産を目減りさせる恐れがあるとも言われています。
マスコミは不安をあおりますが、私にはあまり悪い状況のようには思えません。
金融恐慌が何を引き起こしたかを知らないわけではありませんし、社会の秩序が混乱することも一応、それなりには分かっているのですが、どうも不安が起きてこないのです。
第一、株安で資産価値が半減したといいますが、そもそも「存在しない資産」の幻想が消えただけです。
あまっていた資金を、「存在しない資産」に投資(投機)していた人は、その不明さを反省すればいいだけです。
前にも書きましたが、「振込め詐欺」と同じなのですから。
それにしても株安でなくなってしまった資金は、どこに消えたのでしょうか。
本当に不思議です。
レバレッジ効果は、まさにトリックでしかなかったのです。
それにしても、円高と株安が共存するというのは不思議な話です。
日本経済は強くなったのか、弱くなったのか、どちらなのでしょうか。
円高が株安を起こしているというのも、分かったようでわからない話です。
もちろん論理は分かりますが、仕組みとしておかしいです。
人工的なホメオスタシスの一つでしょうか。
株価もPBR(株価純資産倍率)が1を切っていて、割安水準だと専門家はテレビで話しています。
本当でしょうか。
思い出すのは、年金基金で全国に作った豪華な施設が、数百円で売却されたという話です。
資産価値とは何でしょうか。
価値と価格とは別の論理で成り立っていることを忘れてはいけません。
PBRが1を切ったからと言って、私にはお買い得品とは思えません。
それはあくまでも金融資本の発想だからです。
何を脳天気なといわれそうですが(麻生首相ほどではないでしょうが)、
そもそもこういう状況になってしまう経済のあり方のおかしさこそが問題です。
みんな口をそろえて、大変だ大変だと騒いでいますが、
何が大変なのか、私にはどうもわかりません。
大変さを口実に、またリストラが行われ、真面目に仕事に取り組んでいる中小企業が被害を受けることが気になりますが、問題の設定の仕方がどうも違っているように思えてなりません。
ついでにいえば、円高だからガソリンが安くなって自動車に乗りやすくなるとか、輸入品が安くなるとかいうのも、私にはとてもおかしいような気がします。
その発想が、今の状況を引き起こしたのですから。
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