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2008/10/08

■成熟の仕方を間違えた社会

東京株式市場での日経平均株価の終値が前日比952円という大暴落です。
一方、円高が進み、1ドル=99円台に突入しました。
これをどう読むかは難しいですが、世界の経済システムは、そのホメオスタシスが作動しないほどに不安定化していることは否定できません。
しかし、もし私がテレビや新聞などの報道に全く触れていないとしたら、そんなことには気づかないでしょう。
私の生活は今のところ、何の変化も起きていません。
たしかに食品やガソリンは値上がりしていますが、生活費の負担増を重く実感するまでには至っていません。
むしろテレビの値上がり報道で値上がり感を植えつけられているような気がします。

株式は持っていませんし、運用で資産を増やそうという思いは一切ありませんから、株価や為替がどうなろうと直接的な影響はありませんし、関心もありません。
幸か不幸か、銀行預金もたいしてありませんから、銀行が倒産してもそう困りません。
借金がありますので、もう少し働かないといけないのですが、過剰な借金ではないので、一応返済の目処はあります。
そんなわけで、恐慌の再来などと言われても、どうもピンと来ません。

私はとても恵まれているのかもしれません。
しかしいろいろと将来への不安は抱えています。
でも地道に生きていけば、困ったことが起こっても、きっと道は開けると固く信じています。
いや、信じていたというべきでしょうか。
最近少し疑問が出てきているのは事実です。
なぜこれでもこれでもかと、不安を煽り立て、増幅させているのか。

困った人がいたら、助け合うこと、みんなが支え合って平安な生活を送れるような社会を実現する、それこそが経済の基本でした。
いわゆる「経世済民」です。
そのために経済学者はいて、そのために事業家がいて、政府の経済政策があると、若い頃は思っていました。
いまも心身のどこかに、その確信が存在しています。

会社に入社した数年後に、D.ガボールという人が「成熟社会」という本を書きました。
その本のことをある人が思い出させてくれました。
読み直してみたら、こう書いてありました。

われわれの自由経済を不安定にするような機構と慣習は、改革されなけれはならない。
資本市場は、投機の対象には適さないように改めなければならない。
どうも私たちの社会は、成熟の仕方を間違えているようです。
経済学者は、どこかで道を踏み外したのです。

今回の金融不安を起こした過剰流動性は、やはりポトラッチするのがいいと思います
そして、「経世済民」の経済システムに再挑戦できれば、どんなにうれしいことでしょう。
ノーベル物理学賞の報道を見ながら、そんなことを夢想しました。

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