■節子への挽歌421:寝室にある節子の写真
昨日、写真のことを書きましたが、私たちの寝室には私たちの写真が3枚壁に貼ってあります。
節子が飾っていたものを、そのままにしてあるのです。
ちなみに、私たちの寝室はまだそのままで、部屋の片隅にはいつも散らかっていた節子の鏡台がそのままあります。
節子のベッドも、今もそのまま残しています。
ある朝、目が覚めたら、そこに節子が寝ているという奇跡が起こるかもしれませんので。
壁に貼ってある写真は、たった3枚ですが、私たちの人生の歴史でもあります。
初めて出会った頃の節子と私の写真。
私が惚れてしまった、無垢な節子はぽちゃぽちゃと太った可愛い子でした。
私が会社を辞めて、2人で湯島にオフィスを開いた時に、たくさんの人から贈ってもらった花を背景にした2人の写真。
この時の節子は、夫を支えてがんばろうという、たくましさを感じさせます。
そのあたりから、私たちの関係は大きく変わりだしました。
節子が主導権を取り出したのです。
そして還暦の時に娘が撮ってくれた2人の写真。
節子はもう発病していましたが、しっかりした表情で前を向いています。
とびとびの3枚の写真ですが、その間にびっしりと詰まっている私たちの生活を思い出すには十分です。
節子は、きっといつもこの写真に見守られながら、眠りについていたのです。
眠れない夜に目が覚めて、この写真を見ていたのです。
そして、今は私がそうしています。
ベッドの位置だけ変えたのです。
節子がいつも眠っていたところに、私のベッドを移動させて、今、私はそこで眠っています。
ですから時々、節子に呼び起こされるのです。
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