■「自分の理性を使う勇気を持て」
ほとんどの人間は、自然においてはすでに成年に達していて、他人の指導を求める年齢ではなくなっているというのに、死ぬまで他人の指示を仰ぎたいと思っているのである。 というのも、未成年の状態にとどまっているのは、なんとも楽なことだからだ。わたしは、自分の理性を働かせる代わりに書物に頼り、良心を働かせる代わりに牧師に頼り、自分で食事を節制する代わりに医者に食餌療法を処方してもらう。そうすれば自分であれこれ考える必要はなくなるというものだ。お金さえ払えば、考える必要などない。考えるという面倒な仕事は、他人がひきうけてくれるからだ。「牧師に頼り」というところがなければ、現在の日本社会の状況のことを言っているのではないかと思うような文章です。 しかしこれは、今から200年以上前に書かれた文章です。 カントの「啓蒙とは何か」です。 さらにこうも書いています。
それに人々は、理性を使う訓練すら、うけていない。そして人々をつねにこうした未成年の状態においておくために、さまざまな法規や決まりごとが設けられている。ますます最近の日本と同じです。
連日、可能な範囲で国会中継を見、それへの反応をマスコミで読んだり見たりしています。
それで思い出したのが、この文章です。
カントは、「知る勇気を持て」「自分の理性を使う勇気を持て」と言っています。
飼いならされた先入観の中で、生きている人が多すぎます。
せめて自民党と民主党の論争をテレビできちんと見てほしいと思いますが、そんな時間などなくされているのが、日本の「民」の現状かもしれません。
とても生きにくい時代です。
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