■借金の本質とは「増やして返す」こと
音楽プロデューサーの小室哲哉さんの逮捕には驚きました。
この世界に詳しい人には意外でもなんでもないのでしょうが、100億円を超える資産家が預金残高1万円に満たない状況にまでなってしまうことを知り、改めてお金の恐ろしさを知りました。
それにしても、なぜこれだけの資産を持ちながら、あっという間にこんな状況になってしまうのか。
たぶん100億円の資産家だからこそ起こった話なのでしょう。
「借金の本質とは「増やして返す」ことだ」と喝破してくれたのは、『「お金」崩壊』を書いた青木秀和さんです。
机の横に積んでいる本の1冊だったのですが、小室哲哉逮捕のニュースを見て、なんとなく読む気になりました。
とても頭が整理されました。
もっと早く読んでおけばよかったと思います。
ブログに書いておきながら、私は「公的資金」の意味を理解していませんでした。
税金だと思っていましたが、青木さんはこういいます。
「公的資金」とは、つまりは、私たちの貯蓄のことである。
公的資金による資本注入とは、「貯蓄の資本化」にほかならかったことになる。
実に明解です。
私は「お金がお金を産むこと」が全く理解できないでいましたが、青木さんは同書でこう書いています。
私たちは、これまで金利圧力の存在を軽視しすぎてきたのではないか。資産が自動的に増えるということは、負債も自動的に増えることを意味する。お金を借りて返さなければ、負債は自動的に積み増されていく。お金をうまく返せなくなると、途端に金利圧力が襲ってくる。それはやがて、人間関係や日常生活、果ては人格まで破壊しかねない。
まさに今回の小室さんの事例そのものかもしれません。
お金はお金を産むものではなく、負債を創りだすための仕組みだったことにやっと気づきました。
目からうろこが落ちた感じです。
それを拡げて展開しているのがグローバリゼーションです。
金融工学の原理の始まりは銀行だったこともわかりました。
少し難しい内容ですが、新書ですので、気楽に読めます。
ぜひ多くの人に読んでほしい本です。
特に、貯金のある人はぜひ読まれるといいです。
本書の最後に紹介されている、英国の化学者フレデリック・ソディ(1921年のノーベル賞受賞者)の言葉、「貨幣や信用は、富であるというよりは、むしろ負債である」がとても意味深いです。
アメリカではオバマが勝ちました。
世界が「チェンジ」するのでしょうか。
この本をオバマさんにも読んでほしいと思いました。
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