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2008/12/20

■節子への挽歌475:みんな、どこか知らないところで気にしていてくれる人をもっている

節子
思ってもいなかった人から節子へのお供えをいただきました。
もう1年以上たってしまって、といいながら。
その人たちは、節子には会ったことのない人たちです。
でも、ライフリンクのメンバーといえば節子には通じるでしょう。

ライフリンクは自殺予防対策を目指して活動しているNPOです。
その立ち上げに、ささやかに協力させてもらいました。
節子も応援しており、代表の清水さんがテレビに出るといつも私に教えてくれました。
節子は「生命」の大切さを知っていましたから、この活動への関心も大きかったのでしょう。

先日、そのコアメンバーであるFさんとNさんから一緒に食事をしたいと連絡がありました。
NPOの活動をしている人たちから相談を受けることは多いので、何か相談があるのかと思っていたのですが、何か準備する必要があるかと思って、直前になって、「お会いする目的は何ですか」とメールしました。
Fさんから意外な返事が来ました。

大変遅くなりましたが、奥様がお亡くなりになり、お参りにもあがらないままでしたので、供養の気持ちを表したく、2人で考えておりました。
節子の症状がかなり厳しくなってきた頃、NPO関係の活動からもすべて手を引こうと考えました。
若い仲間が、私の卒業式に当たるフォーラムを開いてくれました。
全国のコムケア仲間に声をかけました。
急だったので心配していたのですが、全国から仲間が集まってくれました。
そのフォーラムに、お2人はライフリンクとして参加してくださったのです。
お2人は、ライフリンクの活動がここまで来ていることを報告する意味で、参加してくれたのだそうです。
その時は、私には精神的な余裕がありませんでしたので、そんなこととは全く思ってもいませんでした。
でもそう考えると、もしかすると山口のSさんも福井の茂さんも、大阪のMさんも、みんなそういう思いで参加してくださったのかもしれません。

私が取り組んでいるコムケア活動の基本は、表情のある人のつながりです。
「表情のある人のつながり」の大切さを教えてくれたのは節子です。
節子を見送った後、そのつながりに、私はどのくらい支えられたでしょうか。
それにしても、そのフォーラムで立ち話でしかお話していないお2人から、まさか節子の供養のお気持ちをいただくとは思ってもいませんでした。
おそらく私が少しずつ元気になってきたことを知って、声をかけてくださったのでしょう。

Fさんは大学の教授ですが、看護師でもあり、自殺の問題に早い時期から取り組まれており、さまざまなことをきっと身近に体験されているのでしょう。
Nさんは、ご主人を見送ったのが契機になって、ずっとライフリンクの活動に関わっています。
ですからお2人とも、愛する人を見送ることの意味を深く実感されているのです。
初めてであるにもかかわらず、2時間以上も話をさせてもらいました。

節子
私たちが知らないところで、こうやって私たちのことを気遣ってくれている人たちがいるのです。
それにしても、1年以上、気遣っていてくれたことがとてもうれしいです。

節子
人のつながりって、こういうことなのでしょうね。
これはきっと私たちだけのことではありません。
だれもがみんな、どこか知らないところで気にしていてくれる人をもっているのです。
それに気づけば、自殺などなくなるのではないかと、お2人と別れた後、思いました。
それに気づかせてくれたお2人にはとても感謝しています。

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妻への挽歌03」カテゴリの記事

コメント

佐藤さん

こんにちは。先日のコムケアサロンには伺うことができず、残念でした。
来年はまた参加させてもらいたいと思っています。

ところで今朝佐藤さんのこちらの記事を拝見して、あまりにタイムリーでしたのでコメントしたくなりました。

実は12月1日より、昼間午後の時間帯に近くの特別養護老人介護施設で事務のパートを始めました。
アロマセラピーの施術の依頼が夜に集中してしまうため、昼の時間を有効活用するためです。
施設を見て早速あれこれと思うところもあるのですが、それはまた別の機会に。

実は金曜日の勤務の時に、11月17日付けの「福祉新聞」が回覧されたので記事にざっと目を通したのです。
そこでまっさきに目に留まったのが、ライフリンク代表の清水さんの自殺に関する記事でした。
それまでライフリンクのことは恥ずかしながらまったく存知上げませんでした。
その記事には、自殺で亡くなった方の72%が、自殺する前に自分が抱えている問題を
何らかの専門機関に相談しており、そのうち6割以上がなくなる1ヶ月以内に相談をしていたとありました。
それは自殺者が本当は生きることを望み、何とか生きる道を探そうともがいていたということとであり、
決して「選択された死」や「身勝手な死」とは言い切れないと清水さんは分析されておられましたが、データを読み取る限り本当にそうだと思います。
さらに「自殺対策」=「生きたい」という気持ちを支えることのできる社会を作って行くことが、
その目指すところであり、そのように発想の転換をすると自殺に関係のない人はいなくなる。
と仰っておられた清水さんのお考えに、大変共感いたしました。
佐藤さんも書いておられた
「だれもがみんな、どこか知らないところで気にしていてくれる人をもっているのです。
それに気づけば、自殺などなくなるのではないか」
ということと同じことを言っておられるのだと思いました。

また昨年自殺された33,093人の方の内訳を見ると、男性が23,478人、女性が9,615人とあり、
ずいぶんとその差があることに驚きました。
自殺の原因が明らかになった7割の方の理由のトップが健康問題63%、ついで経済・生活問題32%・・・や
職業別では無職者が57%という高い数字であることも大変考えさせられました。

また自殺率の国別順位ではリトアニア38.6、ベラルーシ35.1、ロシア連邦32.2、スロベニア26.3・・・
日本は8位ということでしたが、この上位に何故かロシア周辺国が集中しています。
チェルノブイリの影響がいろんな意味で見え隠れしているような気がしてなりません。
日本は先進国の中でもかなり自殺者が多いのですから、
社会に大きな歪みがあるに違いありません。
今の日本は「いのち」より目先の利益や経済を優先する政策を国や企業が推し進めているのだから、
無理もないのかもしれませんが。
このままでは心配です。

投稿: 渡邉りよ | 2008/12/21 12:39

ありがとうございます。

東尋坊の茂さんも、いつも「死にたい人など一人もいない」と言っています。
支えあう文化を早く取り戻したいものです。

「赤信号、みんなでわたれば怖くない」の良さを見直したいです。

投稿: 佐藤修 | 2008/12/22 09:15

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