■「女性活用」という罠
一昨日の挽歌に書きましたが、月命日なのについつい出かけてしまった集まりは、女性活用をテーマにした委員会でした。
その様子はまたCWSコモンズのほうに書きますが、各社の事例発表を聞いていて、いささかの懸念を感じましたので、それを書いておこうと思います。
こんなことを書くと委員会から外されそうですが。
それに、CWSコモンズでは何回も書いてきていますし、いささかしつこい話ではあるのですが。
企業に限りませんが、「女性の活用」が大流行です。
「男女共同参画社会」も違和感がありましたが、「女性の活用」にも違和感があります。
だれが活用するの?と思ってしまいます。
「男女共同参画社会」の時には、参画していないのは「男性」だろうなどと、私は考えていましたが、これは「女性の社会進出」と同じで、どこに立脚して発想するかの問題です。
「女性の活用」は、男性が女性をもっと活用してやろうというふうに聞こえてきます。
とりわけ企業における「男性活用」論をきいていると、そうしたことを感じます。
一昨日の会では、企業の「先進事例」を3社から聞きました。
いずれの企業もみんな「女性の活用」に苦労しているようです。
女性活用を推進する専任の部署を創ったり、女性管理者登用の目標を設定したりしています。
どこかおかしいと思えてなりません。
それで、「そんなに無理して女性を活用する必要があるんですか」と暴言をはいてしまいました。
誰が一体望んでいるのか。
当の女性は活用されたいと思っているのか。
そもそも「活用」って何なのか。
もう大昔ですが、私も25年ほど前、東レで企業文化変革に取り組みました。
その時のポイントの一つが、女性による企業文化の見直しでした。
いろいろと挑戦しましたが、トップの交代で、残念ながら頓挫しました。
しかし、その時感じたのは、女性は男性とは違った意味で、
企業活動に大きな活力を与えてくれるということでした。
久しぶりに、当時のことをいろいろ思い出しました。
ちなみに、その時の取り組みは、「女性の活用」などという動機は皆無でした。
女性がエンパワーされたら、会社の業績はよくなるし、みんなも働きやすくなるだろうという思いでした。
女性が男性とは違った能力を発揮している会社は少なくありません。
しかし、それがすぐに管理職比率などにつながるわけではありません。
管理職の女性比率を増やそうということ自体が、実は男性の発想かもしれません。
その発想では、企業は変わりようがありません。
現在の枠組みの中で、女性の活用策を整備していくことは、もしかしたらせっかく女性が持っている男性とは違った能力を活かせなくすることかもしれません。
つまり、女性活用が、逆に女性の特質を疎外してしまうという罠に陥りかねません。
私は、男性とは違った女性の能力と感性が、袋小路に入ってしまっている企業や経済をブレークスルーするのではないかと思っています。
そういう視点から、女性をエンパワーし、その活躍の場を育てていくことが、いま求められているように思えてなりません。
それは「女性の活用策」ではありません。
女性が活用できるように企業を変えていくことです。
「女性」は、目的語ではなく主語なのです。
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