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2009/01/07

■男らしさとバルネラビリティ

新着の「ハーバード・ビジネス・レビュー」2月号を読んでいたら、興味あるタイトルが目に入ってきました。
「男らしさにこだわることの弊害」です。
海洋油田の掘削現場に従事する現場作業員の世界の話です。
この現場は、いわゆる3Kの典型的な職場で、伝統的に、腕力、度胸、腕前が誇示されてきました。
ところが、これまでの伝統的なガンバリズムとマッチョの企業文化を払拭したことで業績をあげている会社があるというのです。
その会社では、従業員の意識調査などから、次の2つのことが明らかになりました。
・男らしさを誇示する態度は、仕事をするうえでの障害になっていた。
・強力なリーダーシップの要件について、従来の考え方を改める必要があった。
リーダーたちのイメージには「男らしさ」が付きまとっていますが、実際に調べてみると、「仲間を気づかい、よき聞き手であり、学ぶことに前向きで、一生懸命な人物」がリーダーの特質だったというのです。
そこで、企業文化の変革に取り組んだのです。

その結果、「男らしさ」を誇示することを美学としていた文化は後退し、伝統的な男らしさからすれば、およそ受け入れがたい振る舞いも気にしなくなったといいます。
そして、自分のイメージ・ダウンにつながりかねない能力不足や弱点をさらけ出すことをいとわなくなったのだそうです。
その結果、会社の業績は向上したわけです。

「石油掘削現場というきわめて男性的な職場で働く男性たちは、マッチョを追求するのをやめて、そのパフォーマンスを改善することに成功した。ならば、アメリカ産業界の男性たちも、おそらく同じことができるはずだ」とその記事は書いています。
実は、男らしさを誇示することの負の影響を調べた調査は、航空会社から、製造業、ハイテク、法曹界に至るまで、多岐にわたっているそうです。
とても共感できる話です。
日本ではまだそうはなっていないように思います。

私は15年ほど前から、管理者教育などを頼まれると、リーダーシップやマネジメントの要諦は、自らのバルネラビリティを見えるようにしていくことだと話してきました。
バルネラビリティと言うのは、当時、一橋大学の教授だった金子郁容さんから教えてもらった言葉ですが、「弱さ」とか「脆弱性」を意味しています。
コミュニケーションの出発点も、まさにこのバルネラビリティではないかと思っています。

今日、女性の活用をテーマにする研究会がありました。
そこで盛んに出てきたのは、これまでの日本の会社は男性文化だったという話です。
この話とつなげていくと、女性が企業で活躍しだす意味が見えてくるような気がします。

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