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2009/01/09

■ミツバチが消えたのはネオニコチノイドのためか

一昨年、日本の新聞各紙で話題になったニュースがありました。
「米国でミツバチが消えている」というニュースです。
全米50州の中の25以上の州で、最近ミツバチの姿が消え、養蜂家や農業関係者の間で大騒ぎになっているという話です。
同じような現象が、ヨーロッパや日本でも起こっているのだそうです。
原因については、携帯電話などの電磁波や農薬など、諸説がありますが、まだいずれも確証は得られていません。
しかし状況証拠であれば、かなりたくさんあるようです。
状況証拠が示している原因は、ネオニコチノイド系農薬です。

最近、ネットで「沈黙の夏」という言葉を書名に使っている本を見つけました。
レーチェル・カーソンの「沈黙の春」を思わせるものですが、正式の書名は「悪魔の新農薬ネオニコチノイド」(三五館)、副題が「ミツバチが消えた沈黙の夏」です。
著者は環境ジャーナリストの船瀬俊介さんです。
早速読んでみました。
「沈黙の春」の紹介につづいて、こんな風に書き出されています。

世界中で、静かな恐怖が進行している。それがミツバチの大量死だ。
まずアメリカ。2006年10月からミツバチが一夜にして忽然と姿を消す怪奇現象が全米で多発している。
わずか半年間で、全米で養蜂されていたミツバチ四分の一が消え失せた。
全米で約240万群が飼育されてきた。
うち60万群もが消滅したことになる。
この突然の異常行動は「人類を襲う存亡の予兆では?」と人々を恐怖に陥れている。
人類の食糧の三分の一は植物に依存しているそうですが、ミツバチたちは、これら植物の80%の受粉に関わっていると同書には指摘されています。
つまり、これは決してミツバチの話ではないのです。
人類としての食糧自給率の問題なのです。

ネオニコチノイドは、強い毒性が判明した有機リン系に代わる農薬市場のニューヒーローとして、1990年代に登場しました。
しかし、21世紀に入り、ミツバチへの被害などが広がり、その結果、フランスでは2006年4月29日に最高裁でその使用が禁じられたそうです。
因果関係は必ずしも立証されなかったようですが、疑わしいものは使用せずという、いわゆる予防原則が適用されたのです。
オランダでも使用禁止になっているそうです。

そこからがよくある話なのですが、アジアが市場として拡大してきているのです。
同書によれば、いま、このネオニコチノイドを大量に使っているのは日本と中国。それも単位面積当たりの使用量は日本は中国の100倍だそうです。
しかも、ネオニコチノイドは有機リン系の農薬と違い、水溶性のため作物の中に大量に吸収されるそうです。つまり洗ってもダメなのです。
じわじわと体内に入ってくるわけですが、それが高度の神経障害を起こしかねないと著者は書いています。
最近、「切れる人」が多いのも、これと無縁ではないかもしれないとさえ、書いています。

この話をどう評価すべきか。
こうした話は往々にして過剰に書かれることが多いので、そのまま鵜呑みにしていいかどうかは確信が持てません。
しかし、著者も指摘していますが、こうした動きの陰に大手化学メーカーの利害とそれを守ろうとする官僚の姿が垣間見えてくることです。
オゾン戦争フィブリノゲン問題を思い出すとこの話にも真実があるようにも思えます。
日本の農水省はほとんど動いてはいないようです。
そのあたりのことはもし関心があれば本書をお読みください
取材記事が掲載されています。

食育や食の安全もいいですが、基本的なことをおろそかにしていますので、いずれもが要するに産業の利益に貢献する活動になっていて、それがこうしたことにも繋がっているように思えてなりません。

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