■生産とは価値を創ることではなく、儲けを増やすことでしょうか
昨日、NHKの「週間こどもニュース」を見ました。
時々、見るのですが、昨日は冒頭に「GDP」の説明がありました。
その説明のしかたがちょっと気になりました。
子どもたち(役)にお父さん(役)が説明するというかたちなのですが、お父さんは働いた成果を「儲け」と言う表現をし、その「儲け」の合計が「GDP」だと説明しました。
「売り上げ」と「儲け」を混同しているのが気になったわけです。
以前、「オープンブック・マネジメント」という本を翻訳したことがありますが、そこに「会社の従業員は売り上げと利益を混同し、売り上げの割には給料が安いと思いがちだから、会社のお金の動きをみんなに公開するのがいい」というような話があったのを思い出しました。
「GDP」の計算方法を、私は知りませんが、生産高と売上高、利益高は全く別のものです。
数日前にやはりテレビのニュースで、大田区の中小企業の経営者が、せっかく製造した機械部品が売れなくて在庫になっている山の前で、売れれば商品だが売れなければただのゴミ、と嘆いていました。
これは実に象徴的な話です。
セブンイレブン本部が、売れ残りそうになった弁当を値下げして売ろうとした加盟店の行為をやめさせたことが不正取引行為ではないかと問題にされています。
売れ残れば廃棄されますが、安くても売れればゴミにはなりません。
食べ物をゴミにするのは良くないとキャスターは話していました。
働いた成果は「儲け」ではなく、「価値」と考えたいですね。
その「価値」をむざむざゴミにはしたくない。
そうした経済原理が、昨今は極めておろそかになっています。
その出発点が、子どもたちへの教育になるような気がしてなりません。
私たちも、そう育てられてきたのでしょうか。
まだものが不足していた時代には、モノへの感謝の気持ちがありました。
「いただきます」「ごちそうさま」の経済が基本でした。
しかし、今はゴミを増やすことが経済を活性化するような時代になってしまいました。
生産とは価値を創ることではなく、儲けを増やすことなのです。
ゴミを増やすことで儲けは増えていきます。
それが今の経済の基本構造になってしまったような気がします。
以前、「儲け型経済から稼ぎ型経済へ」のことを書いたことがあります。
そこに「暮らし型経済」のことも書きましたが、できたらその記事を読んでもらえるとうれしいです。
ちなみに、わが家の数少ない自慢は、「暮らし型経済」を目指していることです。
これは、今は亡き妻の残してくれた文化です。
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