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2009/02/21

■リバースレバレッジ政策

オバマ米大統領は、公的資金約7兆円を活用して住宅ローンの借り手を支援することを検討しているようです。
日本の経済対策と違い、極めて納得できる方策です。
そもそも、現在の世界不況の発祥はアメリカの住宅ローン問題でした。
私が共感できるのは、問題の構造を踏まえた現場支援政策だからです。
そういえば、今週来日したヒラリー・クリントンは、現場に耳を傾ける姿勢を強くメッセージしていました。
日本の政治家にはこうした姿勢はほとんど感じられません。

そのニュースを聞きながら、思いついたのが「レバレッジ効果の逆転」です。
この数日、考えるでもなく考えていたのですが、いい言葉もいいアイデアも見つからないので、イメージだけを書くことにしました。
「リバースレバレッジ政策」などという、消化不良な言葉しか思い浮かびませんが。

レバレッジ効果とは、要するに「てこの原理」で、わずかな資金で大きな利益を上げるために使われる仕組みなどの説明に使われます。
有名になったのは、FX取引ですが、これはいうまでもなく、わずかな資金で大きな損失を生み出す仕掛けでもあるわけです。
レバレッジ効果そのものが悪いわけではありませんが、昨今のバブル経済は、こうしたレバレッジ効果を使いすぎて、実体経済を壊しだしているわけです。

レバレッジが作動するためには、最初に加える力がなければいけません。
その最初の力と結末に関して最近意識化されたのが、レバレッジ効果とバタフライ現象です。
この二つを軸にして、経済現象や経済政策を考えると実に面白い世界が広がるわけですが、その大元に注目し、発想を逆転させることはあまり行われていないように思います。
いわゆる逆システム発想ですが、オバマのスピーチを聴いて、その発想を感じたのです。
多くの経済対策は現象に対する処方です。それが「票」になるからです。
そのため、発想の起点が現場ではなく、サプライサイド(銀行などの制度運用者)に置かれ
ます。
貧困者支援であれば、直接、貧困者に届ける方策を起点に考えますが、そうではないので、一番の貧困者であるホームレスには届かなくなるわけです。
しかし、そもそもの根本から問題を発想し、そこからレバレッジの逆発想をすれば、必要経費はケタ違いに少なくすむでしょう。
その代わり、中間に入る人たちの利益には役立ちませんが。

日本の経済政策の多くは、支援予算が現場の当事者に届く頃には大幅に減少してしまっています。
その反面、景気対策で過剰に潤う人が出てくるわけです。
オバマの住宅ローン借り手支援が、具体的にどう行われるのかはわかりませんが、仮にローン返済を3年間無償延期するというようなことにすれば、資金のほとんどは直接的に効果を発揮します。
そのための間接コストはほとんどかかりません。

レバレッジ効果の前の段階で問題解決するか、後の段階で問題解決するかで、必要な資金は大きく違ってきます。
さらに、救済資金の効果をレバレッジの仕組みで大きくパワーアップしたら、現在のような巨額な資金など投入せずとも問題は収束できるはずです。
金融工学の専門家たちなら、そのくらいのことは朝飯前のことではないでしょうか。
発想を変えれば、金融工学者も社会に少しは役立てるはずだと思います。
どなたかいかがでしょうか。
そろそろお金の側ではなく、人間の側での金融工学に戻ってほしいものです。

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