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2009/02/23

■節子への挽歌540:リモージュでの節子

昨日書いた雑誌「ミセス」には、論文の紹介に併せて、
浜美枝さんの「ローマ、パリ、リモージュ、テーブルセッティング体験旅行」という記事が掲載されていました。
改めて読んでみました。
文中には、同行した受賞者の発言も紹介されていますが、浜さんらしく、全員を少しずつ登場させています。

節子の言葉は、あんまり知性を感じさせませんが、こんな内容です。
テーブルセッティングに用意されたキャンドルを見て、
「紺色のキャンドルなんて、ブルーの灯がともりそう」
また講習会の感想を言い合っている時に、「みんな雰囲気を楽しんでいるのね。ミラノの、フルコースで料理が24種類も出てきたレストランの食事が楽しかったこと、店中にユーモアがあふれて・・・」と同行の杉山さんと話しているのが紹介されています。
いずれもいかにも節子らしい発言です。
写真も何枚か掲載されています。
20年ほど前ですから、みんなまだ若いです。
朝市で、みんなが露店で買い物をしている写真もありました。
節子が、たぶん一番好きな時間だったでしょう。

浜さんの記事から想像するに、このツアーはかなり贅沢な旅行だったようです。
記事には、リモージュのレイノー家に招待されての昼食の様子が書かれていますが、そういえば、節子はレイノー家のご夫妻からのお土産といって、リモージュ焼きのお皿をもらってきたのを思い出しました。
わが家のどこかにあるはずです。とてもきれいな小皿でした。

この旅行は、節子にとっては非日常的な旅行だったのだろうと思います。
私たちは、個人的にはいつも質素な旅行でしたから。
その旅行の話をあまりシェアしなかったことは、いまさら後悔しても仕方がありませんが、夫婦といえども別々の体験の喜びはなかなかシェアできないものです。
むしろ一緒に旅行したみなさんのほうが、私よりもシェアしていることは間違いありません。
昨年の節子の一周期には、みなさんがわが家まで来てくれましたが、その気持ちが浜さんの文章を読んでいて、少しわかったような気がしました。

浜さんは、以前、箱根でレストランを開いていました。
節子は何回か友だちと行っていますが、私は残念ながら体験できませんでした。
一度、思い立って急に節子と箱根に行ったときに、レストランまでは行ったのですが、予約していなかったのでだめでした。
あの時、もし節子と食事をしていたら、もっともっとこのヨーロッパの旅の話を聞けたかもしれません。

夫婦は、お互いにすべてを知っているようで、知らないことがたくさんあるものです。
雑誌に載っている節子の写真をみながら、節子と喜怒哀楽を共有しだしたのは、もしかしたら私が会社を辞めてからだったかもしれないと思いました。

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