■経済指標に振り回されていては事態はかわりません
今日、発表された経済指標は「戦後最悪のペースで景気後退が進む現状」を示しているとマスメディアは報じています。
鉱工業生産指数は前月比10%の減少だそうです。
景気後退で、生活さえ壊されている人たちがたくさん出ている中で、こんなことを書くのは不謹慎かもしれませんが、だからこそ書いておきたいと思って、書くことにしました。
昨日も、ある人から、佐藤さんは自宅もあって生活が安定しているから、そういうことがいえるのではないかと指摘されましたが、まさにそうなのです。
しかし、こうなるためには、20年かけてライフスタイルを変えてきた結果でもあるのです。
ホームページ(CWSコモンズ)を書き出した年に、「今が不況だ、などと考えることをそろそろやめましょう」というタイトルのメッセージを出しました。
2002年2月10日のことです。
当時はバブルがはじけた状況で景気は停滞していたのですが、むしろ今は正常なのではないかと書いたのです。
よかったら読んでください。タイトルをクリックすると記事が出てきます。
この記事に、知り合いのエコノミストが批判してきました。
当時はまだ私もエコノミストの人たちといろいろと付き合いがありました。
私は経済をわかっていないといわれました。
まあ、それは事実なのですが。
っしかし、すでにその時点で、需要を大幅に上回る生産能力が日本にはあったのです。
その時点で「数量的な生産増を主軸にする成長戦略」は見直すべきでした。
しかし、当時を「不況」と考えた企業やエコノミストは、それまでと同じく、需要を増加させる方法を考え続けてきました。
それはそう難しいことではないのです。
世界中にお金をばら撒けばいいのです。
そこで金融工学者たちの錬金術がもてはやされました。
それに呼応した企業が、たとえばトヨタです。
トヨタの経営者には経営ということが全くわかっていなかったのです。
そうでなければ、これほどの大幅な減産などという事態にはならなかったでしょう。
経営不在といわれても仕方がないと、私は思います。
それを主導した人たちが、財界の中心になるのもこの間の事情を象徴しています。
生活の基盤を奪われた人たちの当面の生活支援は重要です。
しかし発想は変えなければいけません。
今でも、思い切って生き方を変えれば、企業に頼らなくても、いろいろな方法はあるはずです。
数字を使って「景気が悪いからがまんしろ」「そのうちまた不況から脱出できる」などという「アメとムチ」にだまされてはいけません。
2002年の不況を脱出して、戦後最長の好況になって、なにか「暮らしやすく」なったことはあるでしょうか。
不況や好況などというエコノミストの数字のまやかしは、生活とはあまり縁がないはずです。
そんな数字に振り回されるような生活からは、時間をかけて抜け出たいものです。
たぶん20~30年はかかるでしょうが、そうしたビジョンに基づいた大きな経済政策が構想される時代ではないかと思います。
国民は経済のための労働力ではなく、生活者なのです。
それを忘れてはいけません。
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