■企業のお先棒であることを露呈した田原発言
桝添大臣直属の「後期高齢者医療制度の見直しに関する検討会」(塩川正十郎座長)は3月17日に報告書を提出しました。
マスコミ報道によれば、委員の見解が一致したのは、「後期高齢者」という名称の変更のみだったようです。
マスコミもあまり報道しませんが、結局は原案がそのまま決まっていくのでしょうか。
あれほど大騒ぎしたのが嘘のようです。
もっともあれほど評判の悪かった定額給付金もいつのまにか実行されましたし、結局は「お上」には勝てないというあきらめのようなものが日本を覆っているのかもしれません。
公務員改革も天下りも騒いだわりにはもう話題の中心からは外れたようです。
こうやって、何も変わらずに、ずるずるとやってきたのが、この40年なのでしょうか。
そうしたことに加担してきたのはマスコミだと言ってもいいでしょう。
情報社会におけるマスコミの役割を改めて考えていかねばいけないように思います。
国民の多くが反対しても政府が方針を変えなかったことがこの数年、たくさんあります。
しかし、マスコミは国民のそうした意見を基本にして報道するのではなく、政府の意向に従って、世論を変える方向で働いているように思います。
マスコミは、いまや権力や企業のお先棒広報機能に特化してしまっていますが、それに抗して健闘している市民ジャーナリズムもなかなか世論に影響を与えるまでにはいたっていません。
テレビが企業のお先棒であることを垣間見せてくれたのが、昨日の田原総一郎サンデープロジェクトです。
出演している国会議員が、また報道ステーションで批判されるだろうが、というような発言をしたのに対して、田原さんが「古舘も朝日テレビからギャラをもらっているから大丈夫だよ」と発言をしたのです。
驚きました。
自らが企業からギャラをもらっているので企業や政府に不都合なことは言わないと告白したのと同じことです。
だれも注意しないで、笑っていました。
この番組に出演している人たちの本性が伝わってきます。
番組の最後に、アナウンサーが「先の発言に対して古舘さんから苦情の電話があった」と報告しました。
それを途中でさえぎって、田原さんは「古館には、それはいいことだ、がんばれと言った」というようなことを自慢げに話していました。
自分の発言の意味が、全くわかっていないのです。
やりきれませんね。
念のために言えば、私は古舘さんの誠実な言葉に共感しています。
しかし行動に移さない不誠実さにはいささかの失望を感じています。
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