■日本政策投資銀行完全民営化が先送りを歓迎します
日本政策投資銀行の完全民営化が3年間先送りされるような記事が新聞に出ていました。
その理由はいろいろとあるのでしょうが、小泉政権の「官から民へ」の改革の象徴として掲げた政府系金融機関再編の柱ともいえる、政投銀の民営化の見直しは、「改革の後退」との批判もあるようですが、私にとってはむしろ共感したい動きです。
何しろ私は銀行国有化論者なのですから。
正確に言えば、銀行はみんなでの共有化(コモンズ化)がいいと思っていますが。
私たちが使っている紙幣は日銀発行の紙幣です。
政府発行紙幣が最近も話題になりましたが、これは日銀が発行している紙幣がいまやみんなの信頼する通貨になったという話です。
ところが、その通貨を使った金融業が以上に発達してしまったというのが今の状況ではないかと思います。
通貨は2つの大きな意味があります。
人々の生活を支える交換手段としての通貨とそれ自体が商品化し富の生産・蓄積手段となった通貨です。
本来、それは全く意味の異なるものだと思いますが、現在の通貨の仕組みは実際には両者とも同じ通貨が使われます。
歴史の中では、地域通貨のようなものが並行して使われていたこともありますが、結局は一つの通貨に統合されてきています。
しかし両者は全く違うものです。
前者は生活の経済のツールですが、後者は産業の経済のツールです。
後者の機能は民営化してもいいでしょうが、その結果、生活に悪影響を与えることになってしまうところが悩ましいところです。
そこで、後者の機能が生活を壊さないように、通貨の管理は民営化すべきではなく、共営化すべきだと私は思っています。
それが難しければ、せめて次善の策として国有化すべきだと思うわけです。
銀行をすべて個人の私欲を起点にした民営化に任せていいものかどうか、よく考えて欲しいです。
民営化信仰は、一体どこから広まったのでしょうか。
常識的に考えれば、それがいかにおかしいかすぐわかるはずなのですが。
いつものことながら、私の常識が狂っているのかもしれませんが。
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コメント
政策投資会社の民営化について私も同じ意見ですが先送りされただけかもしれません。
郵政民営化で郵便貯金がゆうちょ銀行に変わりました。
郵政民営化は120兆円を越える「かんぽ」の資金の市場化をねらう米国からの強い要望が有ったようですが、
ゆうちょ銀行は都市銀行と同様に利潤の追求が要務で、ゆうちょ銀行は証券会社の指導を受けて投信を売り始め、堅実な顧客に勧め、此の度の暴落で随分損をさせたとおもいます。
マネーゲームなど興味が無く堅実に誠実に生きてきた庶民を支えてきたのが郵便貯金だったとおもいます。
お金自体が商品化する民営化は庶民を不安定にします。
投稿: maron | 2009/04/20 03:59
maronさん
ありがとうございます。
>マネーゲームなど興味が無く堅実に誠実に生きてきた庶民を支えてきたのが郵便貯金だったとおもいます。
全くそう思います。
政治家に乗せられたのが残念です。
投稿: 佐藤修 | 2009/04/23 22:33