■これまでの仕事観や経営観からの脱却
経済はますます悪化していくという報道が多いです。
みんな先行き不安感を強めています。
不安感を与えすぎだと思いますが、社会に不安感が広がる(広げる)ことの意味はよく考える必要があります。
マスコミの増幅機能に関しては以前も書きましたが、使い方によっては大きな弊害を起こしかねません。
景気の浮き沈みはいつの時代にもありましたし、悪い話の反対側には良い話があるのも経済の特徴です。
実体経済を「生活の経済の反映」と考えれば、そんなに大きな変動はありえません。
もし貨幣がなければ、私たちの暮らしの経済は変動しようがないからです。
金融機関のみならず、メーカーさえもがレバレッジ発想を持ったことが今回の変動を大きくしていますが、その発想そのものがすでに従来の実体経済発想をはみ出してしまっています。
トヨタの大幅生産減は、自動車を一種の金融商品にしてしまった結果です。
メーカーとしての経営を逸脱したといってもいいように思います。
いまそれがまた修正されている過程だと考えられます。
問題は、広がる雇用解雇です。
これもしかし、かなり前から問題としては明らかになってきていました。
つまり「労働の終焉」というテーマです。
技術の進歩により生産性は飛躍的に高まり、従来型の発想での「仕事」は減少してきています。
にもかかわらず、経済や政治は「仕事観」を変えていませんし、私たち自身も「仕事観」を変えていませんから、そのずれの中で、雇用解雇が問題として起こってしまうわけです。
私は21年前に、仕事観を変えて、会社を辞めました。
そして「働くでもなく遊ぶでもなく休むでもなく学ぶでもない」生き方にはいりました。
仕事をすることは「お金」をもらうことではなく「お金」を使うことだと発想を切り替えました。
もちろん結果としてお金をもらえることも多く、生活にはさほど支障はなく、いまもその生き方を続けています。
しかし、テレビなどを見ていると、たしかに深刻な話は増えています。
私は時間をかけて生き方を変えることが出来ましたが、一挙に変化の衝撃を受けたところは大変です。
もちろん実際にはじわじわと追い込まれていたのだと思いますが、現場の真っ只中にいるとなかなか変化は見えません。
誠実に生きている人ほど、見えないところが悩ましい話です。
そんななかで、「100年に一度のチャンス」などと脳天気のことを書いていると、怒られそうな状況がテレビでは報道されます。
たしかに企業をどうにかして倒産させないようにと日々苦労している経営者の人には私の発言は怒られても仕方がないでしょう。
それを承知で、しかし、生き方を変える契機にしてほしいと、やはり思います。
経営者が一人で悩むことの限界は明らかです。
しかし、企業に関わる従業員みんなで誠実に考えたら解決策はあるはずです。
解決策は現場にある、というのが私の考えです。
その基盤として、オープンブックマネジメントの発想が必要だと思い、以前、その本も翻訳出版させてもらいました。
当時は、オープンブックマネジメント発想さえ持てば、企業はすべて元気になると思っていましたが、残念ながらこの本は売れませんでした。
また長くなってしまいましたが、仕事観や企業経営観を変える時です。
従来型の発想の呪縛から自らを解き放せば、新しい解決策が見えてくるように思います。
大切なのは、支えあいながら生きることであって、仕事や企業ではありません。
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