■コンフォーミティ社会ではマスクをしないと異端者になりかねません
今日、降圧剤をもらいに近くのクリニックに行きました。
いつもは混んでいるのに、何と誰もいませんでした。
窓口に人に、新型インフルエンザの報道のせいですかね、と訊いたら、それもあるかもしれませんね、という答でした。
まあ、たまたま私が行った時だけすいていたのかもしれませんが、毎月、通っているのにはじめてのことでした。
昨日、テレビで、街頭でマスクをしている人へのインタビューで面白い回答がありました。
最近はマスクをしていたほうが、「異端」にはなりませんので。
まさにコンフォーミティ社会の到来です。
アッシュの実験という、社会心理学の古典的な話があります。
数名のサクラの中に一人だけ本物の被験者をまぜたグループをつくり、そこに長さの違う3本の直線をみせて、それとは別の1本の直線と同じ長さのものを選ばせます。
普通の人であれば、かんたんに見分けられるような問題です。
しかし、サクラたちはわざと間違った答、しかし全員が同じ答をし、最後に被験者に答えさせると、被験者はサクラたちと同じ答をしてしまうことが多いという結果が出たそうです。
「同調(コンフォーミティ)効果」と呼ばれる現象です。
この観察から、他人に同調しない人はかなりのストレスを持つだろうことが示唆されています。
この実験は有名な話で、私も何回かホームページで紹介していますが、これと似た話に、フェスティンガーの実験というのがあります。
グループの中にサクラを一人だけ入れて、他のメンバーと違った判断をさせると、みんなの関心はそこに向かい、サクラに意見の転換を迫った、そうなのです。
「異端者」は組織の、つまり社会の安定を壊しかねないために、排除されなければならないというわけです。
こうした理論は、すべて安定的な秩序を志向する近代の知なのです。
しかし時代は、ホメオスタシスからホメオカオスの時代に動いていますから、最近ではまあそんなことはなく、組織ではむしろ「異端者」が評価される時代になってきていますが、実体のないふわふわした「社会」全体では、まだまだコンフォーミティ信仰が大勢を占めているのでしょう。
みなさんはマスクをして外出しますか。
マスクをしていなければ不安な社会には、私は生きていたくないので、マスクはしません。
もちろん自分が風邪を引いたりしたら、マスクはしますが。
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コメント
東洋医学には「未病」という言葉が合って、これは「予防」や「亜疾患」の同義として誤って解釈されていますが(養命酒は誤読の典型です)、本来の意味は、刻々と変化する生命現象を捉え、躍動する生命の力を発揚させることで病に対処するものです。マスクをするのは予防ではあっても未病ではありません。
江戸中期の名医永富独嘯庵先生は「傷寒に万病あり万病に傷寒あり。既病の中に未病あり、未病の中に既病あり」という言葉を残されています。
私も佐藤さんと同じく、ノンマスクで町に繰り出している異端者です。
幸い、火あぶりにされることもない世の中ですから、どうどうと繰り出しています。
こちらの体を整えていれば何も懼れることはありません。
所詮豚インフルエンザは重篤な伝染病ではないのですから。
投稿: 濱口 | 2009/05/20 10:32