■節子への挽歌608:シルシフロラム
節子
2005年の世界蘭展で、節子が買ってきていたシルシフロラムが咲きました。
シルシフロラムはもともとビルマ原産ですが、節子が買ってきたのは、タイの蘭園キーリー・オーキッズからのものでした。
節子は、東京ドームで毎年開かれる蘭展に行くチャンスがなかなかなかったのですが、この年は娘のジュンと行ってきたのです。
私はどうも同行できなかったようです。
いかにも節子らしく、蘭展のお店からもらってきた説明書などが、「洋ラン12ヶ月」という本に挟み込まれて残されていました。
そこに、手書きで「黄色、ふじのような花付き」と書いてありました。
まさにそんな感じで咲いています。
節子はメモをするのが好きな人でした。
いつもメモと鉛筆をバッグに入れて、忘れないうちに書き留めていました。
お店の人と話している節子の様子が目に浮かびます。
蘭は自宅で毎年花を咲かすのは難しいのですが、シルシフロラムは2回目の開花です。
わが家ではまだ、胡蝶蘭を咲かせたことはないのですが、デンドロビウムやシンピジウムの種類はよく咲いているようです。
私はどちらかといえば、日本の和名の花が好きだったのですが、最近はどうも和名の花よりもカタカナの名前の花が多くなってしまいました。
それに、昔は「てっせん」と呼んでいたのに、最近は「クレマチス」の名前が広がってしまうようなことも増えています。
花好きの人はカタカナが好きなのでしょうか。
たしかに和花と洋花とは雰囲気が違います。
最近の人には洋花が好まれるのもわかります。
しかし、私にとっては、日本の昔からの花のほうが子供の頃の風景がよみがえってきて、捨て難いものがあります。
近代主義者の節子と葉、そこが違っていました。
わが家の庭も、いまではほとんどが洋花です。
節子もどちらかといえば洋花が好きでしたので、節子の墓前の花はいつも洋花です。
法事も洋花中心なので花屋さんによってはあまりいい顔をされません。
幸いにわが家のお寺のご住職は、どんな花でも受け容れてくれるので、安心ですが。
例年より暖かいせいか、庭の花が次々と咲き出しました。
どの花に、節子は乗っかっているのでしょうか。
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