■節子への挽歌622:ばんまつり
節子
玄関で、ばんまつりが咲いています。
「ばんまつり」のことは、一度書いたことがあるかもしれません。
この花には思い出があります。
節子と2人で季節はずれの湯河原の梅林に行った時だったと思うのですが、途中で庭のきれいなお宅がありました。
ちょっと待っててね、と言い残して、節子はその家に入っていってしまったのです。
なかなか出てこないので、仕方なく私も入っていくと、庭を見せてもらいながらその家の奥さんと話しこんでいます。
いやはや、節子の得意芸です。
ちょっと高台にあるので道路からは見えませんでしたが、立派な庭で、たくさんの花が咲いていました。
私も庭を見せてもらいました。
その奥さんからお土産にもらったのが、「ぼんまつり」の苗だったのです。
残念ながら、その後、そこにもう一度行くことはなく、お付き合いは発展しませんでしたが、節子がもし元気だったら、湯河原に行ったらきっとそこに立ち寄ったでしょう。
節子は、そうした出会いがとても好きだったからです。
ばんまつりはナス科の花ですが、咲いた時は明るい紫色(節子の好きな色でした)で、次第に白くなるのです。
バラもいいですが、私はどちらかというとこういう静かな花が好きです。
もっともこの花の原産地は南アメリカだそうですが。
この花が咲くと、湯河原での節子の生き生きした顔を思い出します。
節子は見ず知らずの家にも屈託なく入り込んでしまう、不思議な人でした。
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