« ■節子への挽歌642:パウサニアス・ジャパン | トップページ | ■節子への挽歌643:朝顔のタネを蒔きました »

2009/06/06

■図書館民営化の2つの問題

図書館の民営化が進んでいるようです。
しかしどうも私には違和感があります。
何回も書いていますが、「民営化」とは「私企業化」ではないかと、私は思っているからです。
図書館の民営化には2つの問題があります。

ひとつはいうまでもなく、行政がやっていた事業を民営化する場合のすべてに当てはまる問題です。
民営化を、もし企業に任せるというのであれば、論理的には必ずコストアップになります。
なぜなら企業の場合、出資者への利益配分が必要ですから、儲けなければいけません。
ですから当然ながら、図書館の本体業務に向けられる資金は減少します。
ややこしい言い方をしていますが、誰かが図書館経営を通して誰かが儲けることになりますから、その分が外部流出するわけです。
企業に経営を任せるという意味での民営化は、必ず誰かが得をするという仕組みになります。
そうなれば当然誰かが損をします。
言うまでもありませんが、損をするのは住民であり、国民です。
言い方を変えれば、行政事業の民営化は必ず質が低下するということです。
これは世間で言われていることと反対ですが、論理的には間違いないはずです。
間違っていたら指摘してください。
ちなみに、民営化したら無駄が無くなるというのは反証にはなりません。
民営化せずとも無駄をなくすことは可能です。
最近の実例では福島県の矢祭町の図書館の事例を挙げればいいでしょう。
次元が違う話を混同してはいけません。
またミッションの中から優先度の低いものを削除したということも別の話です。
これは次の問題につながります。

民営化するとミッションが見直されることになるはずです。
最近の事例では郵政民営化です。
ミッションが変わる理由は、発想の起点が変わるということです。
それまでは、全体の統治、あるいは住民たちの効用が発想の起点でしたが、民営化すると事業主体の効用に発想の起点が移ります。
住民のためが、顧客のためになるわけです。
ここで問題になるのは、「顧客」とは誰かです。
図書館にとって「顧客」とは誰か、これは悩ましい問題です。
多くの人は「図書館利用者」ではないかと思うでしょう。
そうでしょうか。
まさにその発想は、私企業が経営する図書館事業の場合の発想です。
そこでは受益者負担という発想が出てきますが、これもまた悩ましい問題です。
あまり深入りはやめましょう。
長くなりますので。

さて図書館を行政が各地につくった理由は何でしょうか。
あるいは、その社会的意義はなんだったのでしょうか。
なぜ民間の貸し本屋ではなく図書館だったのでしょうか。
つまり図書館を民営化するということは、ミッションが変わるということです。
この意味は、とても大きいですが、書き出すと長くなるので、今回はここで終わります。

いま必要なのは、図書館の民営化ではなく、図書館のミッションを佐藤修幾人し、それが果たせるように図書館のかたちやあり方を考えることのように思います。

|

« ■節子への挽歌642:パウサニアス・ジャパン | トップページ | ■節子への挽歌643:朝顔のタネを蒔きました »

行政時評」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30899/45233652

この記事へのトラックバック一覧です: ■図書館民営化の2つの問題:

« ■節子への挽歌642:パウサニアス・ジャパン | トップページ | ■節子への挽歌643:朝顔のタネを蒔きました »