■事件の表層と深層
中国新疆ウイグル自治区での騒乱の動きは、ウイグル族と漢族住民の対立へと発展しているようです。
昨日、暴動か暴圧かと書きましたが、問題はさらに深刻化しています。
つまり、縦の対立構造から横の対立構造に変わってきているわけです。
しかし、横の対立構造も、ほとんどの場合、その深層には「縦の対立構造」があります。
縦の対立構造を覆い隠すために、むしろ「横の対立構造」の表象が生み出されるわけです。
横同士、争わせておけば、その上にいるものは安心です。
これは「支配」や「管理」の常套手段です。
第三者は、表象に目を取られるのでなく、深層にこそ目を向けるべきです。
なぜなら、表層は自分には無縁の別の問題であっても、真相は自分にもつながっている問題であることがほとんどだからです。
今回の事件も、ウイグル族と漢族住民の対立と捉えれば、勝手にやってくれということになりますが、国家(組織)と個人(生活)の関係の問題と捉えれば、いままさに日本で起こっている格差問題そのものの構図が読み取れます。
事件の表象は、映像化されやすいので、伝わりやすくわかりやすいですが、深層は見えにくく、多様な解釈もできるため、力を持ちにくいのが現実です。
ですからつねに、表層は消費され、深層が維持されていきやすいのです。
日本の最近の政治状況は、まさにそうした中で、政治の劣化が起きています。
同じ状況を体験したアメリカが、今どうなっているかを考えると、少しはその危険性が理解できるかもしれません。
表象よりも深層を伝えるメディアがもっと育っていく必要を感じます。
問題は、表象にはお金がつきやすいですが、深層にはお金はつかないことかもしれません。
そういう状況を支えているのは、私たちの意識なのでしょうが。
ところで、今回のウイグル自治区での騒乱ですが、テレビ映像がもしあまり編集されていないものであるとしたら、これまでの動きとはちょっと違うかもしれないという感じを持ちました。
新しい世界は、チベットとウイグルから始まるのではないか、などとふと思いながら、テレビを見ていました。
この両地区は、歴史の主流の中にある辺境なのかもしれません。
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