■国会議員定数の削減
今日の朝日新聞の日本財団の笹川会長が、国会議員定数の削減を提言しています。
この問題はあまり大きくは取り上げられていないように思いますが、極めて重要な問題のように思います。
私は反対でも賛成でもありません。
問題はそう単純ではないと思うからです。
削減賛成の人の理由はコスト削減です。
今朝の笹川さんの提言でも、国会に1000億円の予算がかかっているが、まずはその削減からはじめるべきだと書いています。
しかし、そのために議員定数を削減する必然性はありません。
笹川さんの提言は全く論理が成り立っていません。
予算削減するのであれば、定数に手をつける前に、たとえば報酬を半減すればそれで終わりますし、削減可能な関連費用はたくさんあります。
議員宿舎などもその一つです。
問題はお金ではないでしょう。
なぜみんなお金でしか考えられなくなってしまったのでしょうか。
反対論者は少数意見の人が議員になりにくくなるといいます。
議員定数の削減により二大政党以外の人が当選しにくくなるというのです。
たしかにそれは否定できないことです。
少数政党が議員定数に反対している理由はよくわかります。
この理由で、銀定数削減に反対する意見には、私も賛成できます。
でもだからといって、いまのような国会議員の数が必要なのかは疑問です。
第一、猫も杓子も戸は言いませんが、これほど多くの人たちが国会議員になりたいと思う状況にこそ、私は違和感があります。
それほど国家議員職は利得があるのでしょう。
その状況こそがおかしいように思います。
国会議員特権などはとんでもない時代錯誤の制度です。
名古屋市長になった河村さんが首相になれば、きっと見直されるでしょう。
特権を持った人には、代表など出来るはずがありません。
まあそれはそれとして、問題は定数にあるのではありません。
議員制度そのものにあります。
二大政党制とか小選挙区制度と国会議員定数は深くつながっています。
二大政党制度の下では、そして党議拘束や政党公約が支配している状況の中では、国会議員は歯車でしかありませんから、少なくてもよいかもしれません。
そうしたなかで議員定数を削減したらどうなるかは明確です。
少数意見は代表者を持ちえなくなるでしょう。
現状維持が政治の目的であるのであれば、それでも良いかもしれませんが、政治は変化への対応がむしろ目的です。
国会では、多様な意見が交わされる熟議の場であり、創発の場でなければなりません。
そうなると選挙区制度そのものの見直しも必要になるかもしれません。
国会議員定数は、決して財政問題ではありません。
多ければ良いわけではありませんが、少なければ良いわけでもありません。
私たちの生活をきちんと代表する仕組みができているかどうかの問題です。
今の制度が出来ていないことは言うまでもありません。
そこをどう変えるかが問題のような気がします。
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